【全文掲載】浦和レッズの形・2011【川岸和久】
■ようやくその形を見せはじめた浦和レッズのサッカー
4月に入り、2011年の浦和レッズの目指すサッカーがようやく形になってきたようだ。昨シーズンの浦和は、短いパスを回しながら人数をかけてボールを運び、試合を支配しながらも、なかなか得点が決まらない、というパターンを何度も繰り返していた。そして判で捺したように、一つのミスや運動量が落ちたことをきっかけに、勝ち点を失ってきた。今年就任したペトロビッチ監督は、そんな状況を変えるべく、まずは役割分担をはっきりさせることをチームに徹底した。
2月に行われたプレシーズンマッチで見せたのは、3トップの両ウイングがワイドにポジションを取り、中央にはJリーグで二桁得点を続けるエジミウソン、そのそばにはマルシオ・リシャルデスという攻撃の基本型であった。そこにボランチの位置から柏木、鈴木が絡んでいく。とは言っても、前の四人以外の選手は、まず守備を考えてのプレーが求められ、「裸で行ってもしょうがない。まずはしっかり鎧を着て」(鈴木)「後ろ4枚はまず守備」(平川)と選手が話していたように、ペトロビッチ監督はチームの基礎として守備の意識を植え付けた。その影響か、ここ二年の浦和では両サイドバックの上がりが非常に特徴的であったが、当初はサイドバックの攻め上がりが激減し、まず守備という自分の役割を果たすという意識が大いに見てとれた。
■守備の意識を強めながら、サイドから崩していく
そして攻撃時には、新加入の永田を中心に守備ラインから前線へのフィードを多用し、両サイドはあくまでも前線のフォローをファーストチョイスとするリスクの少ない戦い方を選択していた。これは、攻撃で持ち味を発揮する宇賀神のようなタイプの選手にとっては難しいものであったが、そのあたりは選手同士でしっかり話し合い、最適解を探す作業を続けている。開幕直前のプレシーズンマッチであった栃木戦(2/28)では、宇賀神が左ウイングのマゾーラを追い越す姿が度々見られるようになるなど、しっかりと改善がみられた。
これは逆サイドの平川と相談してのことであったそうだが、どの選手も話し合っていると口をそろえており、それぞれの特徴を考えながら徐々にバランスが取れてきた現れだろう。そしてJリーグ開幕となった神戸戦では、失点の場面を除けば、十分に機能した組織によって、ピンチらしいピンチもなく90分を過ごすことができた。そして後は点を取るだけ、という昨年からの課題が残っていたが…。
■縦へ入るパスが増加傾向に
攻撃面での変化としては、自陣でのパス回しから縦にボールが入る場面が増加してきている。それは最終ラインからエジミウソンへのフィードであったり、グラウンダーでの楔のパスであったりと場面によって使い分けがなされつつあるものである。昨年はどちらかといえば横へのパスが多く、一本調子なリズムが多かっただけに、変化してきた点であろう。
もともとパスを回すことができるチームが、早いタイミングでのゴールへ向かうパスを増やすことでよりチャンスを増加させることができている。さらにアジアカップの影響でチームへの合流が遅れた柏木、永田の日本代表組、さらに明らかにコンディションが上がっていなかったマルシオ・リシャルデスやエジミウソン、このあたりの選手たちのコンディションがあがり、一緒にプレーする時間がのびてくることで、自然にできることが増えてきている点も見逃せない。
■あくまでも攻撃的なサッカーを貫く
やはり攻撃のイメージ共有には時間がかかるが、普通に今選手自身ができることができれば相手を圧倒できる、それだけのメンツが揃っている。プレシーズンの大宮戦(2/20)後に「サイドもずっと張ってるのもいいけど、たまには中に入っていって、いい感じで、一回前半でもウガ(宇賀神)が走っていって元気が中入って俺がパス出したっていうのもあったんですけど、そういう形で、バランス良く、ウガ上がったタイミングで元気がしっかり中入ってくるとか、みんなが人の動きを見ながらしっかり動いてこれたら、相手はついてこれないんじゃないかなって思う」と柏木が語っていたが、震災中断後に行われた山形との練習試合(4/10)では、まさにその形が自然な流れでできていた。
4月に入り、2011年の浦和レッズの目指すサッカーがようやく形になってきたようだ。昨シーズンの浦和は、短いパスを回しながら人数をかけてボールを運び、試合を支配しながらも、なかなか得点が決まらない、というパターンを何度も繰り返していた。そして判で捺したように、一つのミスや運動量が落ちたことをきっかけに、勝ち点を失ってきた。今年就任したペトロビッチ監督は、そんな状況を変えるべく、まずは役割分担をはっきりさせることをチームに徹底した。
■守備の意識を強めながら、サイドから崩していく
そして攻撃時には、新加入の永田を中心に守備ラインから前線へのフィードを多用し、両サイドはあくまでも前線のフォローをファーストチョイスとするリスクの少ない戦い方を選択していた。これは、攻撃で持ち味を発揮する宇賀神のようなタイプの選手にとっては難しいものであったが、そのあたりは選手同士でしっかり話し合い、最適解を探す作業を続けている。開幕直前のプレシーズンマッチであった栃木戦(2/28)では、宇賀神が左ウイングのマゾーラを追い越す姿が度々見られるようになるなど、しっかりと改善がみられた。
これは逆サイドの平川と相談してのことであったそうだが、どの選手も話し合っていると口をそろえており、それぞれの特徴を考えながら徐々にバランスが取れてきた現れだろう。そしてJリーグ開幕となった神戸戦では、失点の場面を除けば、十分に機能した組織によって、ピンチらしいピンチもなく90分を過ごすことができた。そして後は点を取るだけ、という昨年からの課題が残っていたが…。
■縦へ入るパスが増加傾向に
攻撃面での変化としては、自陣でのパス回しから縦にボールが入る場面が増加してきている。それは最終ラインからエジミウソンへのフィードであったり、グラウンダーでの楔のパスであったりと場面によって使い分けがなされつつあるものである。昨年はどちらかといえば横へのパスが多く、一本調子なリズムが多かっただけに、変化してきた点であろう。
もともとパスを回すことができるチームが、早いタイミングでのゴールへ向かうパスを増やすことでよりチャンスを増加させることができている。さらにアジアカップの影響でチームへの合流が遅れた柏木、永田の日本代表組、さらに明らかにコンディションが上がっていなかったマルシオ・リシャルデスやエジミウソン、このあたりの選手たちのコンディションがあがり、一緒にプレーする時間がのびてくることで、自然にできることが増えてきている点も見逃せない。
■あくまでも攻撃的なサッカーを貫く
やはり攻撃のイメージ共有には時間がかかるが、普通に今選手自身ができることができれば相手を圧倒できる、それだけのメンツが揃っている。プレシーズンの大宮戦(2/20)後に「サイドもずっと張ってるのもいいけど、たまには中に入っていって、いい感じで、一回前半でもウガ(宇賀神)が走っていって元気が中入って俺がパス出したっていうのもあったんですけど、そういう形で、バランス良く、ウガ上がったタイミングで元気がしっかり中入ってくるとか、みんなが人の動きを見ながらしっかり動いてこれたら、相手はついてこれないんじゃないかなって思う」と柏木が語っていたが、震災中断後に行われた山形との練習試合(4/10)では、まさにその形が自然な流れでできていた。