職場に出産や育児を支援する制度ができるのは喜ばしいことですが、その一方で立場の異なる女性社員同士の溝が深まってしまうケースもよく目にします。

 典型的なのが、「独身の女性社員」VS「既婚・子どもありの女性社員」の対立です。いずれは復帰することが前提だと、人員補充をしないことも多いので、産休や育休、時短などの制度を利用することによって生じた穴を、自由のきく独身女性が埋めるケースが出てきます。

 しかし、それと同時に、

「私たちにばかり仕事のしわ寄せがきて不公平だ」
「子育て中の女性にばかり優しい制度で、私たちには全然優しくない」
「子育てを理由に面倒な仕事を避けているのではないか」
「なぜ子持ち女性ばかり優遇されるのか。独身女性には休暇など与えられないのに」

といったフラストレーションを溜め込むことになります。

 かと思えば、こう文句を言っていた彼女たちがいざ結婚、出産すると、

「仕事と育児の両立の大変さは独身者にはわからない」
「育休や時短は当然の権利なんだから、周囲がサポートするのは当たり前」

とガラリと言うことが変わってしまうのです。「カメレオン型仕事観」ですね。

 男性上司は「女性同士なんだから、自分に子どもができたときのことを考えれば、喜んで協力するだろう」と楽観視していますが、同じ女性といえども、立場が違えば、考え方は180度異なり、お互いの立場を理解し合うのはなかなか難しいものがあるのです。むしろ、ライバル視し、対立構造すら起きやすいのが現実です。

 また、「既婚・子どもありの女性社員」グループでも、子どもが中学生以上の人、子育て真っ最中の人では、価値観が異なります。

「最近、ようやく1年間の育休を認めようという雰囲気が社内にでき、安心して女性上司に妊娠を報告することができたんですが……」

と切り出したのは、おもちゃメーカーで仕入れなどを担当している、公私セパレートさんである30歳の女性です。子どもがすでに高校生になっている40代の女性上司は、

 「そうなの? いまの状況だと、半年以上休まれるとつらいわ。どれくらいで戻れる?」

と、はなから迷惑顔。当然、すんなり育休が取れるだろうという彼女の思惑は外れてしまいました。

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