iPodなどの携帯オーディオプレーヤーの普及で、現代はいつでもどこでも音楽を楽しめるようになりました。そんな音楽生活に必要なのがヘッドフォンですが、最近はノイズキャンセラ搭載という製品が増えてきました。

このノイズキャンセラとは、音が良くなるもの?

いえいえ、ノイズキャンセラは、外部の騒音や雑音を消すのが本来の機能で、その結果として音楽をより鮮明でクリアに聞くことができる機能なのです。
でも、音楽は聞こえて、騒音や雑音だけ消す、そんな魔法のようなことが本当にできるのでしょうか?

今回は、最近当たり前のように普及してきたノイズキャンセラを見てみましょう。

ノイズキャンセラとは?
現代社会は、室内も屋外も様々な音であふれています。たくさんの音が混ざりあいノイズ化しているといってもいいでしょう。自動車や列車の走行音、飛行機内のジェット音、パソコンのファンやハードディスク、空調機の音などが混ざりあい人間の聴覚神経を刺激しています。携帯音楽プレーヤーが登場し、移動中でも音楽が聴けるようになっても音楽ファンは、そうした外部からのノイズに悩まされて続けてきました。

もっといい音で音楽を聴きたい! 騒音のない時間を手に入れたい!

そんな人たちの希望をかなえたのが、ボーズのノイズキャンセラ・ヘッドセットでした。
ボーズによると、1978年にDr.ボーズが機内でノイズキャンセリング技術を思いつき、F1や米軍などでの使用を通して研究し、一般の製品化を実現したそうです。

ノイズキャンセラは、どうやってノイズを消すの?
ノイズキャンセラを搭載のヘッドフォンには、実はマイクが内蔵されています。このマイクが周囲の騒音を拾い、その騒音に反対に作用する逆位相の音(アンチノイズ)を発生させます。この2つの音がお互いに打ち消しあうことで、騒音だけを消すことができるのです。

ノイズキャンセラ搭載のヘッドフォンでも、マイクの数が多い方がより適正なアンチノイズを得られるので効果的です。また、密閉型ヘッドフォンの方がスピーカーやマイクの位置が一定に保たれるのでノイズ除去効果が高くなります。マイクの数が少なかったり、インナーイヤー型ヘッドフォンのように位置が定まらない場合は効果がやや低くなります。したがって騒音をカットする効果は60%〜か90%程度まで、製品によって異なります。

ちなみにノイズキャンセル機能つのヘッドフォンには「モニター」機能がついている製品がありますが、この機能は騒音と同じ順位相の音を発生させて外部の音を聞き取れるようにします。

ノイズキャンセラにもいろいろある?
ノイズキャンセラと一口にいっても種類があるようです。

●位相によるノイズキャンセラ
・アクティブノイズキャンセラ
ノイズに対して逆位相の音声信号を生成し、信号を重ね合わせることによってノイズを減衰させます。
使用例:ヘッドフォン、アクティブノイズキャンセラーガラス(独フラウンフォーファー社)などで利用される。

・パッシブノイズキャンセラ
ノイズそのもののエネルギーを使用し、逆位相の信号を生成し、信号を重ね合わせることによってノイズを減衰させます。
使用例:高速道路の沿道にある遮音壁型ノイズキャンセラ、潜水艦やステルス戦闘機のボディなどで利用される。

●フィルタによるノイズキャンセラ
・アナログ式
フィルタ回路を使用してノイズを取り除く方法です。主なフィルタは以下のとおりです。
 ハイパスフィルタ(HPF)
 ローパスフィルタ(LPF)
 バンドパスフィルタ(BPF)
 バンドエリミネーションフィルタ(BEF)等

●デジタル式
DSPなどで元の信号波形をデジタル化し、合致しない帯域をノイズとして取り除く方法です。

ノイズキャンセラは健康にいい?
このノイズキャンセラですが、きれいな音楽を聴く、騒音をカットする以外にも健康に効果あるのをしっていますか?

人間は不快な騒音を聞き続けると大きなストレスを感じます。大きな騒音はもとより、最近話題の低周波音が健康被害を招いています。環境省は、低周波音を1ヘルツから100ヘルツまでの音波としています。

人は無意識に低周波音を聞き続けると、疲労の蓄積、不快感、不眠、無気力などの症状が多くなるといわれています。代表的な低周波音は、家庭の冷蔵庫の"ブーン"という音、エアコンの送風音、ACアダプタの発生するキーンという音などで、どれも生活の中で聞くことが多い音ですね。

ノイズキャンセラは、40ヘルツから100ヘルツの音に対しても効果があることがわかってきており、音が気になって眠れないとか、勉強や仕事が手につかないといった問題解決にも効果が期待できそうです。

■応用されはじめたノイズキャンセラ技術
ヘッドフォンを中心に利用されてきたノイズキャンセラですが、最近ではヘッドフォン以外にも利用されはじめているようです。

アクティブノイズキャンセラーガラスは、世界で初めてノイズキャンセラを搭載した建材です。独フラウンフォーファー社が開発したこのガラスは、高音域の防音効果しかない従来の防音ガラスに比べ、低音域の防音効果があります。
アクティブノイズキャンセラーガラスは外部から侵入してくる音の位相を感知するための特殊なマイクロチップが内蔵されています。このマイクロチップを使って騒音の位相を検出して、窓枠部分の発振装置を使って反対の位相を発生させて騒音を相殺します。

アクティブノイズキャンセラーガラスがバスや列車、飛行機に使用される静かな移動が実現できそうですね。

■こちらもオススメ!気になるトレンド用語
WindowsでJavaはもう使えない? -JavaとJavaスクリプト-
女子中高生に人気の"プロフ"その光と闇
鉄オタがブーム? 鉄ちゃん〜乗り鉄、鉄ヲタを学ぶ
赤福事件の消費期限って、賞味期限と何が違うの?
体内も脳内もバッチリわかる?楽しい○○メーカー
気になるトレンド用語 バックナンバー