「もしライカールト(監督)が、ロナウジーニョ、メッシ、アンリ、そしてエトーを、そしてマンチーニ(監督)が、イブラヒモビッチ、クレスポ、スアゾ、そしてアドリアーノを同時にピッチに並べることができるなら、サッカー界は新たなレボリューションを迎えることになるだろう」

 決して皮肉ではない。フィオレンティーナのプランデッリ監督は、個人的見解と断った上で、今季のサッカー界に起きようとしている興味深い事象を語った。W杯から1年がたち沸騰した移籍市場がもたらした新たな可能性に、智将も口を挟まずにいられなかったようだ。

「スアゾはミランと契約したはずなのに結局インテルを選んだ。キブはレアル(・マドリー)に行くはずだったのにやはりインテルへ行った。これが何を意味するかわかるかい? 2人ともインテルが、レアルよりもミランよりも勝つために正しいチームだと見なした、ということさ。一流選手はいい嗅覚を持っているものだ。そして彼らが間違うことは滅多にない」

「(今季の)イタリア・サッカー界でいえば、インテルは別の惑星にいる。欧州でいうならバルセロナだ。(豪華選手リストに)開いた口がふさがらないよ。
 だからこそ、マンチーニとライカールトに言いたいんだ。この“4トップ・プロジェクト”を是非とも成功させてもらいたい、とね。彼らが抱えるFWたちは全員“本物の”ストライカーたちだ。ニセモノじゃない。これはレボリューションなんだよ。もし4トップ・サッカーが機能できたら、すべてのチームがそれにならおうとするだろう」

 肝心の自チームについては「ビエリとパッツィーニによる2トップは今のところ、ノーだ」と付け加えた。現実的かつ知的な采配ぶりで賢人ぶりを披露し続けるプランデッリ。腹の底ではしたたかに今季の行方をシュミレーションしつつも、サッカー界の発展を願う姿勢は変わらない。