コートジボワール代表のエースストライカー、ディディエ・ドログバ(チェルシー)が24日、ジュネーブの国連欧州本部で国連開発計画(UNDP)の親善大使に任命された。

 オファーされた「年俸」は1ドル。目下プレミアリーグ得点王(14得点)のドログバとしては、過去にオファーされた中で最小の「契約金」だ。世界の貧困撲滅に向けた活動を行なう「国連チーム」に、ジダン、ロナウドに続きサッカー選手としては3番目の加入となった。

 「レキップ」紙のインタビューでドログバは、UNDP親善大使を引き受けた理由について「人生はサッカーだけじゃない。自分はコートジボワール人であり、人生のほとんどをフランスで過ごし、イギリスでプレーしている。つまり世界の市民だ。しかしこの世界はつねにうまく行っているわけではない。富裕者と貧困者の間にはあまりに大きな格差がある。これを同じ方向に引っ張って行こう、そうすれば世界はよくなるだろうと考えた」と語っている。

 所属するチェルシーは世界15位の富豪であるロマン・アブラモビッチ氏がオーナー。「巨額の資金が動くチェルシーに所属しながら、貧困撲滅のキャンペーンに参加することに矛盾はないのか?」こう訊ねられたドログバは、チェルシーがアフリカでの学校設立など、目立たない慈善活動を行っていることを指摘した。モウリーニョ監督も、今回のジュネーブ行きについてすぐに了承してくれたという。

 ほんの5年前はル・マン(当時2部)の控え選手に過ぎなかったドログバ。現在の地位については「自分がいま稼いでいるお金は、非常に苦労して努力した結果」と考えている。パリで両親とともに12平米のアパートで育った過去を忘れず、そこから這い上がったという自覚があるからこそ、貧しい国の人々にもよい教育を受けられる機会を与えたいという願いがある。