ネット炎上は「正義感の強い人」が起こす 専門家が指摘「批判したくなる3つの心理」
「ネットで炎上させているのは『陰湿な人』と思っている人が多いと思いますが、ごくまれです。実際は『正義感の強い人』が大半なんです」
広告代理店などで構成する業界団体「WOMマーケティング協議会(WOMJ)」が主催する「クチコミフェスタ2018」が2018年11月9日、東京都内で行われた。セミナーでは、「マーケッターとして知らなければいけない炎上対策」と題し、ネットの炎上対策を指南するコンサルタント会社「MiTERU」のおおつねまさふみ氏らが登壇した。
クレーマーでは炎上を起こせない
おおつね氏によれば、インターネット上での炎上は(1)事象発生、(2)発見・指摘、(3)共感・共有、(4)拡散、の4段階をたどる。拡散まで進むと「炎上」と認識され、ニュースサイトで取り上げられやすくなる。
炎上に積極的に関わるのは、記事冒頭のおおつね氏の発言通り「正義感の強い人」。加えて、こんな特徴があると指摘する。
「わざと特定の企業を炎上させようとする人はただのクレーマーで、ほとんど成功しない」「大体の炎上は何らかの善意や『これは反省するべき』という心理(に掻き立てられた人の関与で起きる)」
さらに、拡散の段階では「元の事象の是非はどうでも良くなって、みんなが批判しているから自分も批判しよう」と軽い気持ちで炎上に参加する人も少なくないそうだ。
日本批判の報道に「日本への帰属意識が強い人」は...
正義感の強い人は、(1)集団内ヒエラルキー、(2)帰属意識、(3)内集団バイアス、の3つの心理が働き、個人や企業の落ち度を指摘したくなる、とおおつね氏は分析する。
(1)は、人間には社会階級の影響を受けて行動する習慣があり、自分よりも立場が上だと感じる人が気に食わない言動をすると、「地位が下がってほしい」と批判したくなるという。
(2)は、国籍や性別、年齢、趣味、勤務先など、自身が関係するなにかしらの「集団」の評判を上げようとする心理だ。そのため、例えば日本を批判するような報道があると、日本への帰属意識が強い人は「事実と違う」と反発しやすくなる。
(3)は、自分が所属する集団の人なら大目に見られても、ほかの集団の人だと許せない心理を指す。おおつね氏は「広島カープファン」を例に、「ファン同士であれば許せる冗談でも、同じ冗談を巨人ファンが言ったら許せない、みたいなこと」と説明した。
以上から、「上から目線」に感じられる言動(ヒエラルキー)や、他集団への大ざっぱなレッテル貼り(帰属意識)、身内に向けたつもりが想定外の人に届いてしまった軽口(内集団バイアス)は、炎上しやすいとした。