前半戦は大活躍し、球宴にも選出されたカージナルスのマイルズ・マイコラス(左)【写真:AP】

写真拡大

オールスター選出の大活躍に「彼はどこからともなく現れたわけではない」

 巨人からカージナルスに移籍したマイルズ・マイコラス投手は開幕から圧巻の活躍を続け、初めてオールスターにも選出された。前半戦最後の試合に先発予定のため、夢舞台のマウンドに立つことはないが、最高の栄誉を手にしたことは確かだ。米メディアはここまでの活躍を評価した上で、マイコラスが日本球界で“成長”を遂げて戻ってきたと強調。今季メジャーに突然現れて、好成績を残していると考えているならば「NPBに失礼だ」と断言し、改めて日本球界への“賛辞“を送っている。

 マイコラスは前半戦1試合を残して2桁10勝(4敗)をマーク。18試合で防御率2.65、115回1/3を投げて四球はわずかに「18」と抜群の安定感を見せている。名門カージナルスの先発ローテーションを牽引する右腕への評価は高く、マイク・マシーニー監督に加えて、コンビを組む名捕手ヤディアー・モリーナら同僚も絶大な信頼を寄せている。

 米メディア「ジ・アスレチック」は「マイルズ・マイコラスのメジャーリーグへの素晴らしい復帰はオールスター選出を勝ち取った。しかし、ノー、彼はどこからともなく現れたわけではない」とのタイトルで特集を掲載。来日前の2014年までは鳴かず飛ばずだった投手が、なぜオールスター級の活躍をできているのかに迫っている。

 記事ではまず「マイコラスは投手陣への素晴らしい補強である」とした上で、「その主な理由は、チームで最も安定している先発投手陣の中で最も安定している投手だからであるが、彼のゆったりした性格も理由である」と指摘。そして、日本でのキャリアは見過ごせないと言及している。

本人が明かす“日本愛”「日本でずっと成功できればとても幸せだろうと思ったこともある」

マイコラスがどこからともなくやってきてオールスターに初めて選出されたということは、NPBに失礼である。NPBは日本でナンバー1の野球リーグであり、世界で2番目に優れたプロ野球リーグである。マイコラスは読売ジャイアンツで3年プレーし、31勝13敗、防御率2.18の成績を残した」

 レベルの高いNPBでしっかり実績を残した。つまりは、相当な実力者である。元々持っていた確かな力を開花させる方法を日本で身につけたと言えるかもしれない。記事では「海外でスターダムにのし上がることは、楽しい経験であったことだと理解できる」として、マイコラス本人のコメントを紹介している。

「残りのキャリアを日本でずっと成功できればとても幸せだろうと思ったこともある。日本で6、7、8年プレーし、素晴らしいキャリアを持ち、家族で日本を楽しみ、気持ちよく引退できた選手を何人か知っている。僕はプレーできるところならどこでも、できるだけ長くプレーしたかった。ただ楽しみたいんだ」

 この言葉からは、マイコラスが日本にどれだけの愛情を持っていたのかが伝わってくる。記事では「マイコラスは、日本でプレーした時間は単にメジャーリーグへの復帰を目指すためだけのものではなかったと語った」とも指摘。まずは日本で成功したい。右腕はそんな強い気持ちを持って海を渡ったのだ。

 一方で、日本で快投を続けるマイコラスをメジャー球団は見逃さなかった。カージナルスは日本での投球を高く評価。メジャーでも成功できると確信し、獲得に力を注いだ。そして、新戦力は今季、実際に期待通りの活躍を披露。マイコラスがメジャーでも活躍することで、日本野球のレベルも見直されることになる。

「彼はこの2つのリーグは思い込まれているほどかけ離れてはいないと証明した」

「カージナルスの分析チームがマイコラスの獲得を主導した。コンタクト重視のリーグにおける彼の優れた制球力と奪三振能力に注目した。彼は日本でプレーした時と全く同じことをし続け、その過程で、彼はこの2つのリーグ(MLBとNPB)は思い込まれているほどかけ離れてはいないと証明した」

 マイコラス自身も、日本で活躍できればメジャーでも結果を残せると考えた。つまり、日本で確かな自信を手にし、メジャー復帰を果たしたのだ。本人は「僕は日本で良い投球をして良い結果を得た。ここ(メジャー)で同じような投球ができれば、同じような結果を楽しめるのではないかと思ったんだ」とも話したという。

 記事では最後に「彼がどこからともなく現れたと、間違えて言ってはいけない」と改めて指摘。そして、「東京は約900万人の都市であり、彼らはもうだいぶ前から質の高い野球を見ることに慣れているのだから」と締めくくっている。

 日本人選手が結果を残せば、当然、NPBの評価も上がる。ただ、マイコラスをはじめとする日本球界経験者の元助っ人たちもまた、同じような役割を担っている。マイコラスらの活躍は日本球界にとっても大きな財産となる。(Full-Count編集部)