累計135万台を誇るミニバンSUVが刷新。三菱デリカ50周年のすべて
![3代目1986年「デリカスターワゴン」。ボディは軽量化やボディ剛性を狙い、モノコックボディが採用された。小気味よい走りを実現](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/9/5/955f5_973_fcc91e57_1379a8a9-m.jpg)
ミニバンの広さと、SUVが持つ機動力を融合した三菱のデリカが、今年50周年を迎えた。ここまで愛された理由はどこにあるのか。歴史をふり返りながら、秘密を探った!
■誕生50年を支えた三菱自慢の走り!
今年7月で誕生50周年を迎えるデリカは、ミニバンながら悪路も余裕で走破するワイルドカーだ。その証拠に真冬のパリからスタート、地中海を渡ってアフリカ大陸へと向かうダカールラリー(通称パリダカ)で、デリカは市販状態のまま7000kmの行程をサポートカーとして完走した実績を持つ。
“世界で最も過酷なモータースポーツ”を平然とこなすミニバンなど、世界中を見渡してもデリカだけだ。パリダカで2002年と03年に総合優勝を飾った経験を持つ、増岡浩氏はデリカのポテンシャルとその魅力についてこう話す。
「オフロードの走破性という点で唯一無二。単に家族で移動するだけでなく、ドライバーにとって運転という作業が楽しく感じられるクルマ」
他社のミニバンとは一線を画し、独自進化を続けるデリカは1968年7月、600kg積みの商用車「デリカトラック」として誕生し、高度経済成長時代の物資輸送の役割を担った。ちなみに名前の由来は、デリバリーカーである。そして翌年に9人乗り乗用車の「デリカコーチ」を投入。
続く2代目の「デリカスターワゴン」は79年に登場。86年に誕生した3代目は前面を保護するグリルガードのデザインが話題を集め人気大爆発。デリカの世界累計は約135万台だが、全世代のなかで最高となる約43万台を売った。
「今もデリカといえば、3代目をイメージする方が多いです」(三菱自動車広報)
1994年に登場した4代目の「デリカスペースギア」は、フロントエンジンレイアウトを採用して、前面衝突安全性を大幅に向上させた。
現行5代目のデリカD:5は2007年に発売。優れた居住性と積載性を持ちながら、オフロードからオンロードまで走り切るSUVテイストのミニバンを目指した。そして誕生50周年を迎える今年、デリカD:5は一部改良を受けたのである。
■次期型デリカは三菱と日産のコラボ車
気になるデリカの次期モデルはどうなっているのか。次期型デリカも担当する三菱自動車の商品戦略本部チーフプロダクトスペシャリストの大谷洋二氏はこう話す。
「やはり『これがデリカかよ!?』と言われるようなものになってはいけないし、デリカが掲げ続ける『人々の生活を豊かにする』というテーマに変化はありません」
もともと、“デリバリーカー”が車名の由来であるデリカ。あらゆる道路状況において、確実に乗る人と荷物を目的地まで運ぶ役目がある。それを進化させてきたからこそ長くファンに支持されてきた。それゆえ次期型デリカが期待を裏切る可能性は低いが、自動車専門誌の編集長はこう予想する。
「新型の試作車が今年中にお披露目されるというウワサもありますが、燃費不正問題で苦境に陥った三菱自動車は、2016年にルノー日産の傘下に入りました。当然、デリカの6代目はプラットフォームやパワートレーンなどの中身を日産と共用することになるでしょう。つまり、現行モデルが最後の三菱オリジナルのデリカになります」
コラボのデリカにも期待!
(取材・文/黒羽幸宏 写真提供/三菱自動車)