好きなモノひとつで人生は変わります(撮影:堀口英剛)

モノ選びは、自分らしい人生を歩む第一歩。ガジェット、ファッション、日常のアイテムなど、モノに対するこだわりを語ったブログ「monograph(モノグラフ)」を2011年に開設して以来、今では月間で数十万人という読者に支持されている堀口英剛氏。初の著書である『人生を変えるモノ選びのルール』の筆者が、自身のモノ選びのルールについて伝えます。

モノの選び方は、その人の生き方や考え方に直結する

モノの選び方はその人の生き方や考え方に直結するというのが私の持論。せっかく多くの選択肢が選べる豊かなこの世の中だからこそ、一番自分が良いと思える「ときめくモノ」を側に置いておきたいと思いませんか。

私はポリシーとして自分が「これだ!」と思った「ときめくモノ」のみ、ブログ「monograph」に載せるようにしています。

こうしたブログを6年も続けていれば、自然と知識もつき目も肥えるというもので、製品の良し悪しや自分に合うモノか否かがひと目で判断できるようになりました。

私の周りにあるモノは、そんな自分と読者の厳しい目をくぐり抜けたこだわりのある逸品ばかり。すべてのモノに対して、私はそのモノの「良さ」と「持っている理由」を話すことができます。

「良さ」も「理由」もそれぞれですが、私が持っているモノには必ず「ストーリー」があります。その「ストーリー」を語るのが私の仕事です。

「ときめくモノ」というのは決してスペックや価格だけで語れるものではありません。「なぜ、それを持っているのか」「なぜ、それを選んだのか」という物語が重要なのです。

私は身の回りのすべてのモノに対してこの「ストーリー」を語ることができます。一つとして適当な理由で選んだモノはありません。毎日、毎朝、毎晩、ワクワクとときめきを感じています。それは別段私がポジティブな性格というわけではなくて、自動的に自分の気分が上がるようなモノを生活の随所に散りばめているから。

自分の気分やモチベーションを自分一人の力でコントロールするというのは並大抵のことではありません。相当自律心の強い人か意志の固い人でないと無理な話です。ですので私は、弱い自分を助けるために、元気づけるために「モノ」に頼っています。

・朝起きて最初に飲む一杯の甘い甘いカフェオレ。

・袖を通すだけで人に会いたくなる、風合い豊かなリネンシャツ。

・どこまでも歩いて行けそうな足になじむ革靴。

・どんな場所でも最高の音質を耳にダイレクトに届けてくれるワイヤレスイヤホン。

・触るたびに家に帰るのが恋しくなる使い込まれたキーケース。

どれも一つひとつが私の気分を少しだけ、ふわりと軽くしてくれるときめくモノたちです。このときめくモノが周りにあることによって、私の心の平穏は保たれています。

だからこそ、今求められているのは無駄なモノを省き、自分が本当に必要なモノと出会う力。 モノを見極める目こそが、現代を生き抜く最重要なスキルとさえ言えます。

ですから、私は自分のモチベーションを上げ、最善のパフォーマンスを出すために周りのモノには徹底的にこだわっています。私が持っているモノは、それぞれすべてがときめくモノ。

値段にかかわらず、「なぜ私がこれを持っているのか」胸を張って説明できるモノだけです。そのような自分が自信を持って選んだモノに囲まれていれば、自然と自分にも自信がついてくることでしょう。

あなたの周りにあるモノは、あなたが行った「選択」の結果。こだわりのないモノが周りに存在するとしたら、それはあなたが「なんとなく」で選択をしているという証拠です。

なんでも人にすすめられるがままに買っていたら、あなたの人生は他人にコントロールされているのと一緒です。自分で考え、本当に良いと思ったモノのみを選択する。

ここでは、その選択の方法として、自分で決めているルールを3つ紹介します。

マイルール1【1ジャンル1アイテム】

モノが好きな私ですが、ただ単に物欲に身を任せあれもほしい、これもほしいとさまよっているわけではありません。

むしろ量は必要なく、「なんでも」は必要ありません。無駄なモノはいらないのです。

極力無駄なモノを買わず、本当に自分が納得のいく逸品のみをそろえるために私が徹底しているマイルールが 「1ジャンル1アイテム」。

同じジャンルのモノは一つしか持たず、残さない、という非常にシンプルな決まりですが、これはモノ選びの目を養うために非常に有効なルールだと感じています。

PCもスマホもかばんもカメラもスピーカーも持ちモノのほぼすべてに、このルールが適用されています。

このマイルールがあることによってモノの整理と把握にもつながるのです。今の私にとって「カメラ」と言えばソニーのα7R兇任垢掘◆屬ばん」といえばMOTHERHOUSEのアンティークスクエアバックパック。「ジャンル=アイテム」そのモノとして認識しています。

このルールにおいて重要なのは「判断軸」を作れるということ。何か漠然と新しくほしいモノがあらわれたときに「これは今自分が持っているモノよりも良いモノなのか」という比較ができるという点に意味があります。


薄くて軽くて”頼れる”大切なメインマシン。MacBook 12インチ(撮影:堀口英剛)

このルールの性質上、新しくモノを買ったら一つ前の世代のモノは捨てなければなりません。あと戻りできないのです。

ですから、真剣に「新しいモノのどこが優れているのか」「買い替える必要性がどこにあるのか」ということを考えます。

その厳しい審査を抜け、新しくラインナップに入ったモノは各ジャンルの「暫定1位」の王者。その王座決定戦を何度も繰り返していくうちに必然的に持ちモノは洗練され、良いモノだけが残っていきます。

こうして勝手に身の回りのモノがステップアップしていくエコシステムが確立しているわけです。

私の周りでも4〜5年競争を勝ち抜き、使い続けているモノがありますが、そういうモノはやはり特別な存在感があります。

マイルール2【詳しい人に聞くのが一番】

何か新しくモノを買おうと思ったとき、自分が得意なジャンルのモノであればある程度調べ方や比較基準を知っているので、どんなモノが必要なのか、それのどこが良いのかということを手早く把握することができます。

しかし、自分にとって未知の製品ジャンルに手を出す際は、その良し悪しの判断基準がまったくない状態なので、どうしても検討に時間がかかってしまいます。

新しいジャンルに手を出す際、とりあえずお店に行ってみたりネットで検索をしてみたりすると思いますが、私はあまりおすすめしません。

店舗はどうしても自分のお店の商品を売らなければいけないという制約があるのでフラットな意見を聞くことは難しいですし、ネットも今では同じように収益目的のサイトが検索上位を占めることも多いのでどこまで信頼していいかわかりません。

そこで、私の場合はまず 「身近な知り合いで詳しい人がいないか」というところから探しはじめます。

どんなジャンルでも、きっと友人知人の中に一人くらいは詳しい人間がいるはずです。 多少疎遠になっていても、その人が知識を持っていそうだったら私は勇気を出して一言LINE やFacebook メッセンジャーで連絡をとってみます。

いきなりメッセージを送って失礼なのでは、と思われるかもしれませんが、聞かれる側としては自分の得意分野の話なので意外と悪い気はしないのです。

得意なことであればむしろ誰かに伝えたいとすら思っていますし、人から頼られるというのはそれだけで気持ちがいいものです。


こだわりをギュッと凝縮した財布という名のアクセサリー。プレリーギンザのカードケース&小銭入れ(撮影:堀口英剛)

こういった「身近な専門家」がいたら積極的に話を聞きにいってみましょう。基本的には利害関係がないので中立的でバイアスの少ない情報を教えてくれるはずです。

どこを見ればいいのか、何が判断基準なのか、という基礎を教えてもらいましょう。この予備知識を持っているかどうかによって街やネットの情報が何倍にも価値を増します。

知り合いに「何かの専門家」が増えていけば、自分自身の引き出しも増えますし、人生にも幅が生まれてきます。

マイルール3【「調和」を第一に】

「良いモノ」の定義は人によって異なります。人それぞれ体型も性別も住んでいる場所も性格も違うのですから、誰にとっても適しているというモノは存在しえないでしょう。

わかりやすく言えば、普段から移動が多い人には持ち運びできるハイスペックなPCが便利ですが、デスクに座っている時間が多い人ならデスクトップ型の据え置きのほうが適しているはず。

モノ自体の「良さ」とその人にとっての「良さ」は実のところあまり関係がありません。 人や場面、ジャンルごとにそれぞれの「良さ」があるのです。


日常を最高の状態で切り取りたい。ソニーのα7R兇肇譽鵐2本(撮影:堀口英剛)

それでは自分にとっての「良さ」とはどのように判断すればよいのでしょうか。私はモノの良さとは「調和」にあると考えています。

何か新しく迎え入れようと思うモノがあったら、まず一度イメージをしてみてください。そのモノが自分の生活の中にストンと落ちてくるか。まるではじめからそこにあったかのようにするりと日常に溶け込んでくるか。あなたが持っているほかの持ちモノと共存できるか、その持ちモノたちの中でどういった役割を果たすのか。

具体的には、服を買うときにその服が自分のクローゼットの中にあって違和感がないか、ほかの服とけんかをしないか。新しいペンケースを買ったときにそれが自分の鞄の中にしっくり収まるか、デスクに並べてみたときに景観を損なわないか。日常のシーンで使う図を具体的に考えてみましょう。


そしてたまにあるのが、モノ自体はとっても魅力的だけれども自分の持ちモノや部屋のテイストに合わない、という場合。

一度や二度ならばいいのですが、これが何度も続く場合はもしかしたら現状のモノたちがあなたの足を引っ張っている可能性があります。

今手元にあるモノは今までの生活の延長線上なので、全部が全部あなたの「ときめくモノ」ではないはず。興味をひかれるモノのどれもが、今と合わないと感じてしまったら、むしろ新しくほしいモノのほうがあなたの今の感性に近いのかもしれません。

モノ選びはそのモノ一つ単体で完結する行為ではありません。 むしろほかのモノと並べてみて、自分の理想と照らし合わせてみて、そこに合致するか否かという審査の作業。

自分の中に一本通った「芯」を作り、その世界観を崩さない、「調和する」モノを揃えていけば必然的にあなたの目指す理想の空間ができあがります。