女児の名前をめぐって親が裁判所と対立(画像は『Mirror 2018年3月13日付「Parents in court for baby daughter’s unusual name - and told the judge would pick new one if they didn’t」(Image: iStockphoto)』のスクリーンショット)

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待望の我が子が生まれた時、親は様々な思いを込めて名付けるが、それは親にとって大きな責任でもある。子供に付けた名前を役所から却下されるケースは日本でもあるが、このほどフランスで生まれた女児の名前をめぐって裁判が行われているという。『The Local』『Mirror』などが伝えた。

フランス北西部ブルターニュのモルビアンに住むフランス人カップル(本人の意思により名は公表されず)に昨年11月、第3子となる女児が生まれた。両親はこの女児に「Liam(リアム)」と名付けたのだが、これが裁判沙汰になってしまった。

英語圏でリアムは、男児の名前としてごく一般的である。フランスでは英語を話す人も多いことから両親はその名を女児につけたようだが、出生届を出した時点で母親が役所から「もっと女の子らしいミドルネームを付けるように」とアドバイスされた。しかし母親は1人で来ていたために、「パートナーと相談せずには決めたくない」とそのアドバイスを拒否したという。

そのため今年2月、裁判所が介入する事態となった。検察官は英ミュージシャンで元「OASIS(オアシス)」のリアム・ギャラガーや映画『シンドラーのリスト』でも有名な英俳優リーアム・ニーソンを例に挙げ、「リアムという名前は男児に付ける名前であり、将来子供が成長した時に“性別”について困惑するかもしれないリスクを与えてしまう。子供の利益に反しており、子供がこの先社会関係を築いていくうえで害となる可能性がある」として、親がこの名前を子供につけることを禁じ、親がそれを拒否するのならば代わりに判事が女児の名付け親になるよう、判事に依頼した。

フランスでは男女両方に通用する名を付けるという習慣がなく、多くの名前はFrancois(フランソワ)とFrancoise(フランソワーズ)、Jean(ジャン)とJeanne(ジャンヌ)、Christian(クリスチャン)とChristiane(クリスチアーヌ)のように綴りの点でもはっきりと区別がなされている。 1993年までは、親は政府当局により定められた“名前の許可リスト”から子供の名前を付けなければならなかったが、フランソワ・ミッテラン大統領政権になるとそのリストが廃止され、親には独創的な名前を付ける自由が与えられた。とはいえ現在でも裁判所には特殊な子供の名前を禁じる権利があり、最近では人気チョコレートスプレッドと同じ「ヌテラ」や苺を意味する「フレーズ(fraise)」、「マンハッタン」といった名前を子供につけようとした親の申請を却下している。さらに伝統的なブルターニュの言葉とされるブルトン語の名前も、フランス語には存在しない文字が含まれているという理由から当局では禁じられている。

女児が生まれてもう4か月になるが、未だに名前が決まっておらず、次の公判日も未定である。女児への洗礼を延期した両親は法的に争う構えを見せており、弁護士を雇ったようだ。このニュースを知った人からは、「バカバカしい。確かに男の子の名前だけど美しい名前じゃないの」「なんで判事が名付けるんだ。子供の名前を決める権利は親にあるに決まっているだろうが」「別に社会に反感を買うような名前でもないのに、何がいけないの」「セレブの方がよっぽど変なキラキラネームを子供に付けているじゃないか」「フランスって名前に厳しいんだね」といった声があがっている。

画像は『Mirror 2018年3月13日付「Parents in court for baby daughter’s unusual name - and told the judge would pick new one if they didn’t」(Image: iStockphoto)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)