DeNAまとめサイト事業「3カ月で15億円」儲かってウハウハだった
『写真:AFLO』
「右肩が痛い原因は守護霊かも」など、以前から質の低さが問題視されてきたキュレーションサイト(まとめサイト)「WELQ」が11月下旬に全ページ非公開となった。
他のサイトにある文言を転用し、それとわからないように若干の手直しを加えて掲載していたことがわかったからだ。 専門家による監修のないまま記事を改変したことで、事実とは異なる内容に書き換わっていたものもある。
他のサイトでは無断で写真を転用していたケースがあり、明らかな著作権侵害もみられた。
ずさんな記事制作だったにもかかわらず、SEO対策(検索エンジンの最適化)を行うことで、Googleなどの検索サイトで上位に掲載されていたことが騒動に拍車をかけた。
このサイトを運営していたのは、大手IT企業DeNA。その後、DeNAが運営する「iemo」や「Find Travel」「MERY」など全10サイトが根拠の不明確な記事を掲載していたとして全面停止。
その余波は他社にもおよび、サイバーエージェントの「Spotlight」やリクルートホールディングスの「ギャザリー」などが一部の記事を見直し、LINEが運営する「NAVERまとめ」も仕組みの見直しが発表された。
今回のキュレーションサイト問題では、記事の制作に関わる大量のライターを供給するクラウドソーシング会社にも批判が集まった。「5000文字2000円の報酬」「1記事300円」「文字単価0.5〜0.2円」などという衝撃的な価格も明らかとなった。
ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は、「1か月以内に1000〜1200文字程度の記事1000本を50万円で作れ」という依頼をあるメディアから受けたと週刊SPA! で明かしている。言い回しや語尾を変えれば記事は大量に量産できると説かれたそうだ。
それにしても、キュレーションサイトとは、そんなに儲かるものなのか。
DeNAが11月4日に公表した決算資料(2016年度 第2四半期)によると、「MERYのほか2媒体で月間利用者数が2000万を超過」「期初想定よりも早いペースで進捗しており、非常に力強く推移」と自画自賛。
具体的な数字は出ていないものの、2016年第1四半期(3カ月)で約10億円、第2四半期で約15億円も売上があったそうだ。
今回の騒動を受け、DeNAは第三者調査委員会を設置し、サイトの抜本的な改革を実施。さらには全ての役職員に対し、必要な処分をするとしている。
DeNAは2016年9月の中間決算で、プロ野球・横浜DeNAベイスターズなどのスポーツ事業が黒字化する見込みだと明らかにしたばかり。
本業のゲーム事業が苦戦しているなか、キュレーション事業には大きな期待がかかっていただけに、今後は会社運営の苦戦も予想されている。