今回の東アジアカップにいろいろな問題があったのはわかります。日程もタイトでした。気温も高すぎます。試合会場で練習ができることはほとんどありませんでした。

大会の重要度は低いかもしれません。この大会に優勝したからと言って、何かの予選が免除されたりするわけではないのです。そういうことをすべてわかった上で、僕は選手たちに問いたいことがあります。

ピッチの上に立つのは、紛れもなく「日本代表」という名前の付いたチームです。試合に向けての準備が少ない、戦術が浸透していない、自分たちのプレーをしていない。だからと言って負けていいチームではないのです。

素晴らしいサッカーをしなくてもいい。まずは勝たなければ、選手は自分の力を証明できません。今回、武漢に行った選手たちは、まだ代表に定着したりレギュラーを取ったというレベルではありません。なのに勝てなかった。

戦ってアピールする、勝ってチームに生き残るという姿勢を僕は見いだせませんでした。日本中のサッカープレーヤーが憧れているユニフォームを着たのです。そのチームで試合に出ているという意気込みを見せて欲しかった。

球際の強さ、最後まで追いかける執念、ゴールに向かう強い気持ち――。それは監督が与えるものではありません。自分たちが他の人より持っていることを証明して、代表チームに残るために必要なモノなのです。

選手の中には、「次に選ばれたら、もっとうまくやろう」と思っている人がいるかもしれません。でも、代表チームに保証された「次」はないのです。自分が出せなかった選手は、その時点で代表でのキャリアが終わり。もう呼ばれもしません。

東アジアカップに出場した選手たちに、そんな危機感があったでしょうか。2013年の東アジアカップの時は、活躍した選手がブラジルワールドカップに行くことができるというテストでした。今回の東アジアカップというテストに合格できたのはどれくらいいたか。僕はごく少ない人数ではないかと思います。