介護保険料が高いのは「高齢者が多い市」ではなかった ── 全国1,605保険者を再集計、高齢化率との相関は-0.03、要介護認定率とは0.52

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スペシャリスト・ドクターズ株式会社(東京都港区)が運営するライフプランメディア「IKIGAI TOWN」編集部は、厚生労働省が公表する第9期(2024~2026年度)の介護保険料1,605保険者と、総務省の住民基本台帳による高齢化率・要介護認定率を突き合わせて再集計しました。その結果、保険料と高齢化率の相関はほぼゼロ(-0.03)である一方、要介護認定率との相関は0.52でした。「高齢者が多い市ほど保険料が高い」という直感は、統計上は成り立ちません。

▼全1,605保険者の数値データ・図版(CC BY 4.0・改変可)はこちら
https://ikigai.town/ja/press/2026-08-09/

■ 保険料と関係していたのは、高齢者の「数」ではなかった

相関係数は次のとおりです。

 保険料 × 要介護認定率 +0.52(市区819保険者)/+0.47(都道府県平均46県)
 保険料 × 高齢化率   -0.03(同)/-0.04(同)

集計単位を市区から都道府県平均に変えても符号は変わりません。突き合わせできた範囲の偏りによる見かけの関係ではないことを示しています。

実際の例を並べると、この逆転がはっきりします。

 高知県 土佐清水市 高齢化率51.5%/要介護認定率17.4% → 月4,850円
 大阪府 大阪市   高齢化率24.5%/要介護認定率27.4% → 月9,249円

高齢化率が2倍違っても、保険料は逆になっています。北海道芦別市(高齢化率47.7%)も月4,500円で、全国平均を下回っています。

■ 住む場所で2.74倍、20年で141万円の差

保険料の幅は月3,374円(東京都小笠原村)から9,249円(大阪府大阪市)まで、2.74倍。年額では70,500円、65歳から85歳までの20年間では141万円の差になります。

厚生労働省公表の全国平均は加重平均で月6,225円(第8期6,014円から+3.5%)。第9期では749保険者が値上げ、据え置きが581、引き下げが275でした。

■ 8月は、介護保険の「切り替え月」

介護保険の負担割合証(自己負担が1割か2割か3割か)と負担限度額認定証(施設の食費・居住費の軽減)は、いずれも有効期間が8月1日から翌年7月31日です。前年の所得が6月に確定し、7月下旬に一斉発送されます。いま各家庭に届いている割合証が、これから1年間の自己負担を決めます。

また2026年度は第9期の最終年度で、2027年度からの第10期に向けて、利用者負担が2割となる対象範囲の拡大が社会保障審議会介護保険部会で審議されています。2026年度中に結論が出る見通しです。

IKIGAI TOWN 編集長の塩飽哲生は「地域差の原因を人口構成に求めてしまうと、そこで思考が止まる。実際に効いているのはサービスの利用量で、それは制度設計と地域の事情の話だ」と話しています。