ただし、シラーPERは、明日や来月に暴落することを示す指標ではありません。

市場が急落した場合に、通常より大きなバリュエーション調整が起こり得る環境なのかを判断するための指標です。

■現在の40.64は歴史的に極めて高い領域

Phoenix ConnectのシラーPERチャートでは、1871年2月から現在までの推移を確認できます。

2026年7月20日時点のシラーPERは40.64です。

1871年以降の全期間平均は17.41、過去最高値は1999年12月の44.19、過去最低値は1920年12月の4.78となっています。

現在値は全期間平均の2倍を大きく超え、ITバブル期に記録した歴史的最高値にも近い水準です。

これは、現在のS&P500に対して、投資家が企業の長期利益の約40倍に相当する評価を与えていることを意味します。

ただし、40倍台に入ったから、直ちに暴落するとは限りません。

企業利益が予想を上回って成長し、金融環境が安定し、投資資金の流入が継続すれば、高い評価水準が長期間維持される可能性があります。

一方で、現在の株価にはすでに強い成長期待が織り込まれています。

企業業績が好調でも市場予想へ届かない、金利が想定より下がらない、景気減速が意識されるといった小さな失望が、大きな売りにつながる可能性があります。

■高いシラーPERが暴落を起こすわけではない

シラーPERが高いこと自体が、暴落の直接的な原因になるわけではありません。

市場を動かすのは、金融政策、企業業績、金利、景気、信用不安、地政学リスク、需給などです。

高いシラーPERが示しているのは、こうした悪材料が発生した際に、市場が大きく反応しやすい状態です。

株価は、企業利益と投資家が許容する評価倍率によって形成されます。

景気後退によって企業利益が低下すれば、株価には下落圧力がかかります。

さらに、投資家が高いPERを許容しなくなれば、利益の減少と評価倍率の低下が同時に進みます。

たとえば、企業利益が横ばいでも、シラーPERが40倍から30倍へ低下すれば、株価には大きな調整圧力が生じます。

そこへ利益減少が加われば、下落幅はさらに大きくなる可能性があります。

シラーPERが高い局面では、悪材料そのものよりも、悪材料を受けた評価倍率の変化に注意する必要があります。

■経験者ほど危険な「暴落を当てようとする取引」

シラーPERが歴史的な高水準にあると、空売りによって大きな利益を得られるように感じることがあります。