内田篤人 (撮影/岸本勉・PICSPORT)

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22歳の昌子源は先発にも「緊張しなかった」という。「出られるだろうか」と焦りもしなかったそうだ。先発を言い渡されたときも、「普段と変わりませんでした」。度胸満点のデビューができたのは、本人の性格のおかげでもある。

だが、それだけではなかった。周りを見ると鹿島勢がいた。途中からは大迫勇也も柴崎岳もピッチの中に立った。そして特に昌子を落ち着かせた言葉をかけてくれる人物がいた。

「何かあったらオレに出せ! そうしたらどうにかしてやるから」

内田篤人がそう昌子に言ってくれたそうだ。昌子はその言葉に痺れたのだろう。何度もその話を繰り返す。すると、その横を私服に着替えた内田が通った。内田は昌子をポンと叩いて一言残していった。

「じゃあね。お前、勝てよ。最近お前が勝っているところを見たことがないぞ」

「オス。お疲れ様です。えへへ」

そのときだけは昌子がちょっと照れたような顔になった。すぐに真顔に戻り、「このタイミングで(相手にチャージに)行っていいのかどうか迷うことがありました。でも実戦に出たことで、それも理解できたと思います」と自分の課題を振り返る。

そうやって冷静に思い出せるのも、男気溢れる先輩の、素敵な言葉のおかげなのだろう。

【日本蹴球合同会社/森雅史】