後半は持ち直したかと思われたミランだったが、終わってみれば無残な試合だった……。
 
 63分にチェルチに代わって出場した本田圭佑は、幾度か良さは出していた。タイミングの良い、受け手に優しいパスを見せたし、73分にはカウンターから(枠外だったとはいえ)フィニッシュにも絡んだ。
 
 しかし、その役割が「試合を決める3点目を生み出すこと」「リードのまま試合を終わらせること」だとすれば、いずれも果たせなかったことになる。判断ミスも幾度かあったし、最後の得点チャンスだったFKで、本田のキックからボールが誰にも触れないままゴールラインを割って試合を終了した場面は、何か象徴的ですらあった。
 
 メネーズがボールキープ力と打開力を見せた反面、他選手との連係の拙さで孤立していただけに、視野の広さとパス能力を持つ本田と近い距離でプレーさせれば面白いというのはシーズン序盤からの印象だが、フィリッポ・インザーギ監督にそのビジョンは今でもないようだ。
 
 それにしても、ミランには連係というものが全く存在しない。攻守両面で個人能力頼み。突出した個の集合体であれば、それでも結果は残せるのかもしれないが、今のミランは残念ながらそのような豪華なチームではなく、ゆえに相手に脅威を与えることができていない。
 
 間もなく終盤戦に入ろうという時期に差し掛かりながらも、何ひとつ連係をチームに植え付けることができずにここまで来てしまったインザーギ監督の責任は決して小さくはない。たとえ、怪我人が多く、「金は出さなくても口は出す」首脳陣に横やりを入れられる不運・不遇があったとしてもだ。
 
 この試合は一部で、インザーギ監督の去就を懸けた「査定試合」であると言われていたが、負けに等しい同点に終わったことで、ミラン首脳陣はいかなる判断を下すのだろうか。続投となれば何とも低い査定基準ということになるが、解任劇はまた新たな混乱をチームにもたらすだろう。果たして……。