NASAと日産が●●でパートナーシップを結ぶ理由

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2015年1月13日、日産自動車は、同社がNASA(アメリカ宇宙局)と自動運転車両の共同開発・展開を目指してパートナーシップを締結したことを発表した。

具体的には、日産総合研究所シリコンバレーオフィスと、カリフォルニア州にあるNASAエイムズ研究センターが自動運転に関する研究開発を共同で行う。

自動運転技術を宇宙開発に

2015年内にプロトタイプの車両を作り、自動運転技術を搭載した車両が、実際に資材や人間の輸送を遠隔操作で行うことが可能かどうかを検証するという。

ここで開発された技術を、日産は量産車に、NASA宇宙開発に利用するというわけだ。

この話を聞いたときに、すぐに思い当たったのは日産の『ステア・バイ・ワイヤ』だ。最新のスカイラインで世界で初めて採用された『ダイレクト・アダプティブ・ステアリング』は、ステアリングとタイヤを物理的につなぐシャフトが途中で断絶されている。いわゆる『ステア・バイ・ワイヤ』という技術だ。システムが電気的にタイヤの向きを操作することができるため、クルマの自動運転を実現するために非常に有効である。

つまり、『ステア・バイ・ワイヤ』を量産車レベルで実現した日産の技術力を求めて、NASAがパートナーシップを求めたのではないか? と思ったのだ。

ところが、実際に日産に問い合わせてみると、まったく違った答えが戻ってきた。

信頼関係に基づくイノベーションの創出

「日産総合研究所シリコンバレーオフィス(NRC-SV)は、開設当初からオープンで対等なパートナーとの信頼関係に基づくイノベーションの創出、Co-Creation(共創)を重視した研究を行っている。

NASAとの連携もシリコンバレー研究ネットワーク(Eco System)のひとつとして自然に発生した。また、日産総合研究所シリコンバレーオフィスの現・リサーチ・ディレクターであるマーティン・シアハウス(Maarten Sierhuis)がNASA所属だったこともあり、研究者同士の密なネットワークも、この連携につながった」(日産広報)

また、数ある自動車メーカーのなかから日産が選ばれたのは「日産の自動運転リーダーシップ戦略と、日産のオープンで対等な研究アプローチ(Co-Creationアプローチ)がNASAに好感をもって受け入れられたと認識している」という。

つまり、個々の技術というよりも、日産の姿勢や人的なネットワークがパートナーシップ締結の理由であったのだ。

やはり、人と人が一緒に何かを一緒にしようというときは、その人を見るということなのだろう。

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