静岡県浜松市東区の住宅の庭先で、近所に住む介護士の大橋貞子さん(50)が刺殺された事件は、11月29日に浜松東署に捜査本部が設置され、本格的な捜査が開始されてから1週間以上経つが、手掛かりも少なく捜査が難航している。
 「死亡推定時刻は11月28日午後10時前後。刃物による首の傷は気道や頸動脈に達するほど深いが、防御創もなく不意を突かれたようだ。横向きの状態で倒れた遺体は着衣の乱れもなく、財布や携帯電話が入ったバッグも手付かずで単純な物盗りでもない。大橋さんは穏やかで優しい性格だったと近所では評判で、現時点では恨みを持つような人物も見当たらず謎が多い事件だ」(捜査関係者)

 大橋さんは、現場となった民家から直線距離で350メートル離れた住宅で、夫と高校生の次女との3人暮らしだった。
 10年来の付き合いという女性はこう話す。
 「大橋さんとは先週も食事をしたばかり。長女に子供ができて、孫が可愛いと嬉しそうに話をしていました。スラッとした美人で本当に優しい人でしたよ」

 普段は老人施設に勤める介護士だった大橋さんは「娘の大学進学費用を捻出するため」と、地域情報誌のポスティングのアルバイトもしており、28日は午後9時ごろに外出。しかし、午後11時半になっても帰宅しないため夫が警察に届け出たところ、翌朝に大橋さんとは面識のない民家の庭先で発見されたのだ。
 「民家の郵便受けには大橋さんが配布していた地域情報誌が投函されていたことから、投函直後に襲われたものとみられます。捜査関係者によれば、手掛かりは28日午後10時前後に複数の近隣住民が聞いた女性の悲鳴。加えて同日、大橋さん宅付近に駐車していた白いワゴンタイプの車と、夜に犯行現場近くから走り出る白い車の目撃情報ぐらい。ただし今年4月、この現場から7キロほど離れた住宅で、79歳の老女が何者かに首を刺され死亡した未解決事件も発生しており、関連性も囁かれているのです」(地元記者)

 早期解決が待たれる。