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完全なお遊び機能というわけではないが、これをモバイル・ユーザーが気に入るかどうかは微妙なところだ。

アマゾンの新しいFire phoneの効果こそ、「3D」と呼ぶにふさわしい。しかし過去の「3Dスマートフォン」の流行やアップルによるiOS 7の(めまいがしそうな)視差効果など、この言葉はすでに散々使われてしまっている。アマゾンはこの3D効果を「ダイナミック・パースペクティブ」と呼んでいる。間違ってはいないが、このとてもクールで技術的な機能には、いまひとつ退屈なネーミングだ。

Fire phoneの3D効果をある程度の時間使ってみた印象だが、説明するのが非常に難しい。しかし、とにかく紹介していこう。

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全てのバーチャル3Dについて言えることだが、このダイナミック・パースペクティブも、我々人間の脳を「だまして」2次元的な平面上に追加的な次元を感じさせるものだ。しかし、これまでの3D眼鏡なしで立体映像をシミュレートする(※)3Dテレビやその他の試みとは違い、このアマゾンの技術は「物体が飛び出す」ような効果を生み出さない。例えばロック画面では、それはあたかもFire phoneのデバイスの中にあるものを実際に隅まで覗き込むような感じの効果だ。

※技術的にはオートステレオスコピック(auto-stereoscopic)と呼ばれる

「我々ははるかに広い視野をもった特殊なカメラを開発しました」とアマゾンのCEOジェフ・ベゾスはこのデバイスの発表イベントで語っている。「キーとなるのは、ユーザーの頭の位置を、リアルタイムに、1秒間に非常に多くの回数、測ることです」

Fire phoneの3Dは確かに他のものとは違って見える。そしてこれは、デバイスの4つのコーナーにそれぞれ正面向きのカメラを搭載しているおかげだ。これらの正面向きで赤外線対応の「超省電力」カメラは、ユーザーの頭の位置をリアルタイムにXYZ座標上で追跡し、視差効果とその他の遠近効果の要素と結合することで、アマゾン独特の3Dエクスペリエンスを生み出している。

ダイナミック・パースペクティブは実際何に使えるのか?

Fire phoneの新型センサーのデータは、いくつかの新しいタイプのジェスチャーを可能にする。例えば、画面の一方の端を奥に傾けると、横からポップ・インする追加のコンテキストメニューを「のぞき見る(peek)」ことができる。また、スイーベル(swivel、横に90度電話を傾ける)のジェスチャーによって、クイック・アクションと通知のメニューを引き出すことができるが、これは驚くほど自然に感じる操作だった。タッチ不要で少し奇妙だが面白い操作は、ユーザーの頭の移動に追従して、アプリ・アイコンが(まるでユーザーにタップしてほしいかのように)ユーザーの方を向くというものだ。

サイドメニューのジェスチャーは、peekして地図の上に位置情報を表示するときなど、地図アプリを使う上で便利だった。我々は、全ての魅力的なセンサー機能を積極的に利用するその他の多くのアプリケーションを、いずれにしてもまだ試せていない。しかしいまのところ(ダイナミック・パースペクティブは)、UIのタッチ操作をじゃますることなく、自分の地図の画面を実際の不動産や店舗として感じるために利用することができた。

UIの機能性以外では、我々はユーザーの頭の位置を追跡して操作するスノーボード・ゲームをわずかな時間だが試すことができた。このゲームの操作は、我々がUIで見たような反応の良いヘッド・トラッキング経験と比べると粗削りだったものの、全体的な構想としてはできるだけ没入型で自然なエクスペリエンスとなっていて、そして使いこなすには慣れが必要だった。

リスキーな投資

ダイナミック・パースペクティブはありなのだろうか?どちらともいえない。見た目は派手なロック画面はiOS 7の(しばしばユーザーにオフにされている)3D的な視差効果と同じ程度にしか役に立っていない。しかしアマゾンの3Dには追加のセンサーが含まれていることを考えれば、そこに明確なチャンスはある。アマゾンの新しいプラットフォームへの投資に興味を持つモバイル・ゲーム開発者は、かなりクールなエクスペリエンスをいくつか思いつくことができるだろう。しかしだからといって、彼らがFire Phoneのような1つの独自プラットフォームに投資したいと思うかどうかとなると、全く分からない。

ダイナミック・パースペクティブには面白い可能性やチャンスがあるにせよ、精巧で明らかに高価な多重カメラのヘッド・トラッキング3Dシステムを搭載するというアマゾンの選択が正しいのかというと、難しいところだ。アマゾンは(最初のKindle Fireでもそうしたように)、装飾的な材料を省くことで、Fire phoneの価格を圧倒的にもっと安くすることができたはずなのだ。

Fire phoneの3Dエクスペリエンスは巧妙であり、そこらへんの3Dとは違って実際のユーティリティを提供してはいる。しかし我々は、そのための部品のコストを越える価値がそれにあるという確信を持つことはできなかった。

そしてもちろん、公式な情報によると、この機能はオフにすることができる。

写真提供:Taylor Hatmaker

Taylor Hatmaker
[原文]