川上未映子(左)桐野夏生(右)

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第150回記念「芥川賞&直木賞フェスティバル」速報第6弾!
イベント終了後、30分以内に書いて即アップの最速リポートです。
3月2日13時から14時のステージは
『柔らかな頬』で第121回直木賞を受賞した桐野夏生と、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞した川上未映子のトークイベント。
テーマは「現代という時代に小説を書くこと」。

「小説を書くようになったきっかけ」からスタート。

桐野:自分が読みたいものがもしかしたら自分でかけるのかなあという手探りな感じだった。

川上:散文詩を書いていて、それを読んだ編集者から小説をかいてみないかと依頼があって。ふたつ自分の中に形式があることが、ありがたい。

60年代70年代の日本文学と、女性の書いているものや、アメリカ文学との違いについて話題が広がっていった。

川上:サリンジャーの「フラニーとゾーイ」なんて、思春期の女の子が描かれていて、あの女の子にぎりぎりまで迫っている。フラニーがいきいきしていて、そこにいる感じがする。
桐野:性差を越えていきいきとしている。人間をみる距離間がちがうんじゃないか、と思うの。

かつての日本文学が男の人のものだったんだろうな、と。

川上:搾取というと言い過ぎだけど、ぜんぶが俺を輝かせるためのもの。
桐野:搾取ですよ。みんな材料になる。
川上:フラニーは魅力的だけど、島尾が(『死の棘』で)書いたミホさんは魅力的じゃない、読者の実感として。
桐野:何か欠けている気がする。死の棘棘みたいなの書かないと。
川上:死の棘返しみたいなの。
桐野:まあ、不毛ですがね。

川上未映子さんは、小説家の阿部和重さんと結婚してて、という話題から。

桐野:喧嘩しないの?
川上:むちゃくちゃしますよ。
桐野:文学的に?
川上:それもありますよ。喧嘩が、台詞みたいになる。言い回しとかを攻撃したり。なんか言い合ってる最中に、たとえば「あなたは人間についてはわかってるかもしれないけど、私個人についてはわかってない」って言って、あ、いいこと言ったってメモったり。(会場笑)
桐野:おもしろいねーそれ。
川上:桐野さんはおこったらこわいですか
桐野:こわいですよ。でも、すぐ忘れるんですよ。
川上:あ、いまわかった。ナルシシズム深いひとは、うらみもふかいですよね。

話が多岐にわたりながらも、各部がいろいろ絡みあって、刺激的なトークでした。詳しいリポートは近日中に、島影真奈美がお届けー。

「芥川賞&直木賞フェスティバル」速報!リンク集
・綿矢りさ&道尾秀介:作家は破滅的な職業か編
・島田雅彦&桜木紫乃:男は少年、女は魔女編
・北村薫&宮部みゆき&桜庭一樹:ビブリオバトルでガチ勝負編
・北方謙三&川上弘美:殴り合いをして小説書いての繰り返し編

・辻村深月&円城塔:大人が薦める本を書いてたまるか編
・川上未映子&桐野夏生:男が搾取してきた日本文学編
・角田光代&奥泉光:直木賞選考委員は欠席ばかりしていた編
・林真理子&浅田次郎:映画やコミックだけじゃ底が浅い。本を読め編