Facebook がInstagramチャットでSnapchatとTwitterに宣戦布告

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Snapchatに対抗しようとするFacebookの最初の試みは失敗に終わった。そこで同社はInstagramを使って雪辱を果たそうとしている。

Instagramは画像や動画を編集・共有するためのプラットフォームであり、現在はFacebookに買収されている。そのInstagramが先週、ユーザー間でプライベート・メッセージを送れるようになったと発表した。これまでは、ユーザーが自分のフォロワーとコミュニケーションを取る方法は公開コメントか画像に付ける「Like」しか存在しなかった。

今回発表された「Instagram Direct」で、ユーザーは画像や動画をプライベートで送信することができるようになった。最大15名までの同時送信が可能だ。プライベート送信を行うには、Instagramアプリのカメラ画面で「Followers」の代わりに「Direct」を選択すればいい。その後受信者を選び、テキストを入力すればプライベート・メッセージとして送信される。通常の公開画像でのコメントと同じように、受信者と写真に紐づいたチャットを行うことも可能だ。受信者がメッセージを開くとアイコンに緑のチェックマークが付くので、ユーザーは受信者がメッセージを見たかどうか確認することができる。この点はSnapchatと同じだが、メッセージがすぐに消えてしまうSnapchatとは異なり、Instagramでは過去のメッセージを見返すこともできるのだ。Instagramアプリの右上に受信トレイを示すアイコンが表示されており、そこからダイレクト・メッセージの閲覧画面へ行くことができる。

Twitterと同様、メッセージのやり取りができるのはお互いにフォローし合っているユーザー間のみだ。しかし、自分がフォローしていない相手が自分宛にメッセージを送りたいと思った場合には「保留中のリクエスト」として保存され、ユーザーの承認待ちとなる。

「Instagram Direct」の機能はiOSとAndroidの両方で使用可能だ。

「サービスの中核は写真そのものではなく、コミュニケーションなのです。」と、Instagramの共同創立者であるケビン・シストロムは述べている。「もし写真だけを問題にするなら、我々はカメラの機能を開発していたでしょう。そうではなく、我々が開発したのは携帯電話の機能であり、携帯電話というのはコミュニケーションのためのツールなのです。」

Instagramはこれまで、人生を視覚的に切り取ってシェアする手段として使われてきた。シェアされる写真は美しい景色からランチのメニュー、果ては過剰に加工された自分撮り写真と実に幅広い。ほとんどの場合、自分の写真をシェアし終わった人々はInstagramのフィードをスクロールしてコンテンツを受動的に眺め、たまに気に入った画像があれば保存するというような使い方をしてきた。今回プライベート・メッセージ機能が追加されて双方向のコミュニケーションが可能になったことで、Instagramはテキストベースのメッセージにも進出することになる。

ターゲットは中高生

Facebookが若年層の支持を失いつつあるということはもはや有名な話だ。前四半期の収支報告のなかで、同社は特に10代前半の若いユーザーにおいて、一日の平均利用数が減少していることを認めている。Facebookにとって、Instagramの獲得は若いユーザーの心を繋ぎ止めるための大きな武器となる。

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今年のはじめに発表されたPew Researchのレポートによれば、中高生が好んで利用するのはInstagramやTwitterのようなサービスであるらしい。若者はこれらのプラットフォームのほうが自分を表現しやすいと感じているようだ。そしてこれまでは、Instagramを使う場合には写真を通して自分を表現するしかなかった。

Facebookは引き続きプライベート・メッセージの分野でSnapchatと競うつもりのようだ。Snapchatは30億ドルで買収するというFacebookからの申し出を断ったと報じられている。またFacebookには以前にSnapchatのパクリ機能を自前で提供しようとして失敗した過去もある。これらを踏まえ、今度はInstagramのメッセージで挑戦しようとしているのだろう。

平凡なソーシャル・ネットワークと化したInstagram

本来、Instagramの優れた点はその独自性にあった。写真のみに特化していたという点である。

今回プライベート・メッセージ機能が追加されたことで、Instagramはその独自性を失ってしまった。公開または非公開で画像やテキストを友達と共有する、これはどこにでも転がっているサービスである。Instagramは、ユーザーの興味を引こうと不毛な争いを続ける平凡なソーシャル・ネットワークの仲間入りを果たしてしまったのだ。

とはいえ、モバイル・メッセージングは最先端のトレンドである。Twitterは最近DM(ダイレクト・メッセージ)機能を強化したし、Facebook Messenger や Google Hangout もここ数ヶ月の間にアップデートが行われた。各ソーシャル・メディアはユーザー獲得を巡って相争うなかで、互いに特徴的な機能を模倣し合うようになってきている。

様々なメッセージング・サービスを試した挙句、Facebook Messengerを使うのを止めて他のプライベート・コミュニケーション・ツールを選んだような人々も、Instagramには興味を示すかもしれない。Facebookはモバイル・メッセージングにおける戦いにおいて、一歩優位に立ったと言えるだろう。

Selena Larson
[原文]