Flickrがフォトブックの作成サービスを開始

停滞する写真サービス業は、デジタルからアナログへの逆流で勢いを取り戻せるか。

ベテランのFlickrユーザーの中には、昔の写真サイトのデザインを懐かしがる人たちもいる。そしてFlickrは、彼らのノスタルジーを満たすに相応しいサービスを開始した。ユーザーのFlickr写真を大判の光沢仕上げで印刷し、高級感のあるフォトブックに仕上げるというものだ。

制作責任者のマーカス・スピアリングはこのフォトブックについて、「Flickrにとってはこれまでと非常に異なったアプローチ」だと認めながらも、カジュアルユーザー(家族のアルバムを想定)にもプロユーザー(写真作品のポートフォリオを想定)にも訴求力があると主張している。どちらにせよ、昨今では写真はサイト内に居住を移しており、現実世界のフォトブックというものは絶滅の危機に瀕している。

Flickrのビルトイン・ツール上では写真の拡大・移動などの簡単な制御が行える。写真の編集が面倒な人は、既存の写真セットから引っ張ってくることも可能だ。Flickrのプレスリリースには次のように書かれている。

お気に入りの写真を複数選択し、「Photo Book」アイコンをクリックしていただければ、美しいフォトブックが自動的に出来上がります。あなたの写真はあっという間に素敵な記念品になってお手元に(または幸運な友人や家族の玄関口に)届くでしょう。

我々は、シンプルで直感的な操作で美しい仕上がりのフォトブックを作成できるという点に注力しました。厳選されたフルブリードのレイアウト、高級感のある光沢紙、そしてあなたの写真から作られる美しいカバー。きっと気に入っていただけることでしょう。

念のために言っておくが、Flickrは印刷のクオリティをことさら強調しているので、製品の使い勝手を心配する必要はそれほどなさそうだ(なぜユーザーというものは製品の使い勝手に対していちいち目くじらを立てるのかしらね?)。

Flickrのフォトブックは美しい最大解像度の写真20枚で34.95ドルから作成できる。写真を1枚追加するごとに50セント、上限は240ページで154.95ドルとなる。5〜7営業日で発送してくれるので、ちょっとした贈り物や印象的なポートフォリオが急に必要になった場合などにちょうど良いだろう。各ページには写真が一枚ずつ配置され(iPhoto風の安っぽいコラージュにはならない)、印刷には高品質の光沢紙が使われる。フルカラーの光沢写真はカバーにも印刷されてフォトブックに被せられ、完成となる。

「思い出を詰め込んだフォトブック」という概念はだいぶ前からそこらへんに転がっていたものだ。BlurbやSnapfishといった企業は何年もこの分野を担当してきた。実際のところ、Flickrのユーザは元々Snapfishとのパートナーシップ・サービスを利用すれば、自分たちの写真をプリントして近所の薬局などで受け取ることができたのである。Snapfishには「カスタムカバー」が付いた8インチ x 11インチのフォトブックという似たような製品がある。こちらは29.99ドルなのだが、品質の面ではFlickr自社のサービスの方が信頼を置けるだろう。ちなみにBlurbというもう一つの競合サービスは8インチ x 11インチの素晴らしいフォトブックを31.99ドルで提供している。

フォトブックは別に革新的でもなんでもないが、何らかの価値はあるだろう。少なくとも自称フォトグラファーたちがおじいちゃんやおばあちゃんにプレゼントするアルバムを作る際、仲介業者が用済みになってしまうくらいの価値は。そして、Yahooに買収される前のFlickrであれば見向きもしなかった活気のない写真業界にとっては、どんなニュースでもありがたいに違いない。

企業が買収する技術が自分たちの愛するUIにどんな影響を与えるのか興味津々のFlickrユーザーたちは、もう少し我慢して今後の成り行きを見守る必要があるだろう。

その間、素敵なフォトブックでも眺めて過ごしたらいかがだろうか。

Taylor Hatmaker
[原文]