iGoogleの廃止が意味するパーソナル・ホームページの終焉

iGoogleサービスが正式に終了。類似するパーソナル・ホームページは同じ道を辿るのか。

グーグルがiGoogleのサービスを廃止した。多くのユーザーが反対する中、ホームページをパーソナライズできるこのサービスは11月1日をもって終了し、現在ではグーグルのトップページにリダイレクトされてしまう。ホームページのパーソナライズを行っている似たようなサービスも、同じ運命をたどる可能性が十分にあり得ると思われる。

iGoogleはグーグルの定期的なサービスの見直しにより廃止が決定され、同社のグローバル・エンタープライズサーチのゼネラルマネージャーであるマット・アイクナーによって、16ヶ月ほど前に公式ブログで告知がなされた。アイクナーは当時、ChromeブラウザやChrome OS等の新インターフェースの登場によってiGoogleの必要性がなくなったのだと説明している。つまりグーグルは、AJAX技術によって情報の整理やパーソナライズを可能にしたiGoogleを、重複した不要なサービスと位置付けたようだ。

「最近台頭しているChromeやAndroidで動作するアプリによってiGoogleの必要性が時とともに減少しているため、まもなく終了させるつもりでいる」とアイクナーは書いていた。

しかし、iGoogle終了の理由は他にもありそうだ。iGoogleを廃止に追いやったのは、急成長を遂げているフェイスブックのようなソーシャルメディア・プラットフォームなのではないだろうか。少なくともReadWrite創業者のリチャード・マクマナスはそう思っているようだ。

iGoogle最大の売りはウィジェットであり、小さなWebアプリケーションをダッシュボードに追加できる点にあった。近年ではフェイスブックがこの小型Webアプリにおける最大のプラットフォームに成長しており、主なWebプロダクトのほとんどがフェイスブック・アプリを提供している。オンラインビジネスにとって、もはやホームページに表示されるウィジェットは二の次だと見なされているようだ。

ちなみにマクマナスが上の記事を書いた当時、Google+はまだ正式にリリースされていなかった。これもまた、パーソナライズされたホームスクリーンに取って変わるサービスと考えるべきである。

このインターネットの「appification」つまり「アプリ化」を巡る議論は、モバイルにも浸透していると言っていいだろう。ユーザーがアクセスする情報は一カ所に集まっているのではなく、複数のアプリやウェブサイトへのショートカットとしてバラバラに存在している。一つのパーソナライズされたホームページを拠点とする必要性が薄れてしまっているのだ。現在では、スマートフォンやタブレットの中にある個々のアプリがウィジェットの役割を果たしているのである。

代替手段がないわけではない

なお、拠点として使えるホームページを持ちたいと思っているユーザーがまだ多く存在することは間違いない。これらのユーザーにはMy YahooやNetvibes、iGoogleのクローンであるigHome等が歓迎されるのではないだろうか。

ただこれらのサービスの寿命も決して長くはないかもしれない。そもそもウェブに特化されたカスマタマイズ可能なホームページは多数存在する。ニュースであればAOL、MSN、CNN、Fox News、MSNBC、AlJazeera等が似たようなサービスを提供しており、iGoogle程細かくは設定できなくとも十分な情報を提供してくれる。

他にもグーグルのニュース検索ページ、あるいはFeedlyやDigg ReaderといったGoogle Readerの廃止によって急増しているRSSリーダー型サービスも、パーソナライズされたウェブを提供してくれる。

さらにはウェブ以外のモバイルアプリからも、パーソナライズ可能なホームページに取って変わるものが登場してきている。最近多く見かける「雑誌型」コンテンツ・キュレーションアプリのFlipboard等は、アプリ自体がホームページになると同時にウィジェットの役割も果たすのである。

モバイルプラットフォームの影響を受けて開発される近年のインターフェース(例:Windows8)では、もはやどこからが(iGoogleのような)カスタマイズされたホームページで、どこまでがOSのインターフェースなのかすらも分からなくなっている。アプリやOSそのものがウェブのインターフェースと化した今では、パーソナライズされたホームページを使う意味がそもそもないのであろう。

画像提供:Matt Biddulph(Flickrより)

Brian Proffitt
[原文]