Android 4.4 KitKatの目玉はおそらく「Google Experience」
Android 4.4 KitKatに関する迷走気味な噂から、論理的な結論を導き出してみよう
グーグルの次世代Androidオペレーティング・システム(4.4 KitKat)の目的は、「誰もがAndroidの素晴らしいエクスペリエンスを利用できるようにすること」。
これはどういう意味だろうか?何だか奇妙で謎めいている。グーグルがKitKatで何をしようとしているかについて、公式に発表されているのはたったこれだけなのだ。
Android 4.4に関する様々な噂を繋ぎ合わた情報と、グーグルが過去一年に渡りAndroidをどのようにアップデートしてきたかについて我々が知っている情報を結び合わせると、なかなか面白いアイデアが浮かび上がってくる。
私たちは、全く新しいAndroidエクスペリエンスへと導かれようとしているのだ。それを「Google Experience」と呼ぶ人々もいる。
期待されるAndroidの大幅アップデート
Android 4.4 KitKatは、10月末までに発表されると予想されている。次々と情報のリークが行われ、Androidの次世代バージョンと一緒に発表されるであろうグーグルの主力スマートフォン、Nexus 5に関する噂も飛び交っている
Jelly Bean 4.1が2012年春にグーグルのI/Oデベロッパー・カンファレンスで紹介されてから1年以上が経った。Android 4.4 KitKatはそれ以来初の、新しく名前が付けられたAndroidバージョンということになる。その間にもグーグルはAndroidを2回アップデートしている(バージョン4.2と4.3)が、これらは両方とも「Jelly Bean」シリーズに含まれている。グーグルが「K」で始まるお菓子(グーグルは通常、アルファベット順のスイーツの名前にちなんでオペレーティング・システムの各新バージョンを命名している)を発表する準備がほぼ整った今、ユーザーもデベロッパーもメーカーも消費者も、多いに期待を膨らませている。
Jelly Beanの最後の2つのバージョンは特にユーザーを熱狂させるものではなかった。バージョン4.3の最大の特徴は、「Bluetooth Low Energy」と組込みシステム用OpenGLをAndroidのハードウェアに統合したことだ。これらはアプリ開発者にとっては良いアップデートだったかもしれないが、目に見える変化やエクスペリエンスの改善を期待したユーザーにとっては物足りないものであった。
Google Experienceとは
そういった流れから、今回の噂の焦点はAndroidの根本的な使い勝手を変更するかもしれない主要機能に集まっている。すなわち「Google Experience」だ。
Google Experienceとは、Androidデバイスにおけるグーグル・アプリとウィジェットのハブ・ランチャーではないかと噂されている。どうやらGoogle Experienceは、Android内でランチャーの形をとるようだ。特にバージョン4.4 KitKatに限定されたものではなく、むしろGoogle Playストア経由で配信されるアプリであり、Androidバージョン2.2 Froyoで動作するデバイスにまで互換性があるとされている。
ランチャーは一般的には「スキン」という名前でも知られている。
ブログ「Android Police」の推測によると、Google ExperienceはAndroidのホームスクリーンに常駐するウィジェットで、検索やGoogle Nowのような機能が統合されており、ウィジェット内でデータを読んだり、自身をアップデートしたりするらしい。また、ランチャーはアプリ・フォルダやホームスクリーンの外観をコントロールすることもできるだろうとしている(これまでのように5つに限定されず。無限に拡張可能だと噂されている)。
Androidユーザーにとって、Google Experienceとは何なのだろうか?推測では、KitKat 4.4はローエンドのAndroidデバイスもサポートするだろうと言われている。Google Experienceはおそらくその媒体となるのだろう。
Androidのオペレーティング・システムとしての進化を辿ってみると、Androidがスマートフォン上でどのように動作するかにおいて、グーグルがいくつかの非常に重要な変更を行ったことに気付くだろう。以前Googleは、自社アプリのほぼすべての機能をAndroidカーネルに紐付けていた。そのためデベロッパーも消費者も、新しい機能を入手するにはAndroidの特定のバージョンを必要とした。Google Playストア(旧Android Market)の最新バージョンが欲しければ、まずはAndroid OSをアップデートしなければならなかったのだ。Google MapsやNavigationの最新APIとユーザーインターフェースが欲しい場合は?当然Androidのアップデートが必要だった。Gmail、カレンダー、Googleトーク (今のハングアウト)、その他のグーグルのサービスは?もちろんAndroidカーネルと紐付けられていた。
グーグルはAndroid 4.1 Jelly Beanのリリースでこの仕様を変更し、自社アプリとAndroidのOSを切り離した。Google Mapsのような機能とAPIはアプリとしてスタンドアローンなものになり、Androidではなく「Google Playサービス」と呼ばれるものに紐付けされ、Google Playストアに置かれるようになったのである。
Google ExperienceはGoogle Playサービスのフロントエンド拡張
Google Playサービスは、コンピューティングの世界では「シム」として知られるものである。以下は、Wikipediaに書かれているシムの定義だ。
コンピュータのプログラミングにおいて、シム(shim)またはシヴは、APIを透過的に中継する小さなライブラリであり、渡されたパラメータを変更したり、オペレーション自体を処理したり、オペレーションを他の場所にリダイレクトしたりする。シムは通常、APIの挙動が変わったり、それによって古い機能に依存している古いアプリケーションが互換性の問題を引き起こしたときに機能する。このような場合、古いAPIは新しいコード上の互換性レイヤによってサポートされる。Web Polyfillはこれに関連した概念である。シムはまた、本来開発されていたものとは異なるソフトウェア・プラットフォーム上でプログラムを実行するためにも使用することができる。
Google Playサービスは、Androidのバックグラウンドで実行されるスタンドアローンのアプリだ。ユーザーの操作なしに、自身の機能を直接アップデートする。自分で自分のコードをダウンロードし、機能を実行するのだ。例えばGoogle PlayストアやGoogle Mapsの新しいバージョンがあった場合、それらはGoogle Playサービスを通じて自動的にダウンロードされて実行されるのである。
もしGoogle Experienceが噂通りKitKat 4.4の主要機能だったとしたら、グーグルがやろうとしていることは、Google PlayサービスをAndroidデバイスのフロントエンド・ユーザーインターフェースにすることだ。
この拡張によって、Google ExperienceはAndroidの古いバージョンにも移送可能となる。シムの定義にもあった通り、「古いAPIは新しいコード上の互換性レイヤによってサポートされる」のだ。グーグルは、ハードウェアに紐付けられていないAndroidのほぼすべての特性と機能性を、過去のAndroidバージョンを搭載しているあらゆる端末に適用することが可能となるのである。
Dan Rowinski
[原文]