12位 キヤノン(東1・7751/100株)

「常勝企業」の時代は終わり?カメラも心配

常勝企業で知られたキヤノンだが、最近はかつてのような神業的な好業績の面影が薄れ、他社並みに苦戦している。半導体製造装置が思わしくないだけでなく、コピー、ファクス、プリンターの複合機が他社との競争激化にさらされている。デジタルカメラもスマホの急速な普及に押されている。この8月から9月にかけて株価は安値更新トレンドを歩んでいる。株式市場はこれまで、かつてのソニーのようにキヤノンを特別扱いしていたが、どうやら“不敗神話”の時代は終わったのかもしれない。カメラ事業の扱いに注目。

13位 伊藤忠商事(東1・8001/100株)

前期減益から今期は最高益更新が視野に

みずほ(旧・第一勧銀)系の総合商社大手。世間では繊維商社のイメージが強いものの、実際はエネルギーなどに強く、他の大手商社と同程度の多角化が進んでいる。今後は非資源分野に積極投資し、将来の成長のタネとする方針である。前期は税引き前利益ベースで小幅減益に終わったが、今期は増益転換する見込み。会社予想よりも増益幅が拡大し、過去最高益になる公算が大きい。下半期からの仕上がりに期待したい。他社買収や海外での鉱山権益取得などのニュースでも動くが、投資するなら安く仕込みたい。

14位 小田急電鉄(東1・9007/1000株)

鉄道株でありながら、不動産株に似た動き

新宿が本拠地の電鉄大手。首都圏西部の高級住宅地を沿線に持ち、鉄道株と不動産株の両方の面を持つ。沿線のイメージのよさをフル活用して開発を積極化している。今期は消費税アップを前に駆け込み的な住宅購入が増えている。不動産業のほかに百貨店も経営しており、脱デフレが鮮明になるにつれて、この銘柄の注目度が増してくるとみられる。鉄道事業は売上高の3割ほどしかなく、これからはさらに鉄道依存度が低下していくとみられる。今期は最終利益が過去最高を更新する見通しで、配当も年8円に増配予定だ。

15位 日立製作所(東1・6501/1000株)

総合電機トップ。今は「選択と集中」の途中

総合電機のトップメーカー。東芝と並んで発電システムから家電、通信ネットワークなど多面展開している。ただ、この会社の場合は関連事業の幅が広すぎて、アナリスト説明会でもしばしば、「選択と集中」が話題になる。特にアジア企業との競争や為替変動で、売り上げ規模が大きいわりに採算が安定しない家電部門の扱いに注目したい。グループ各社の親子上場解消も進んでいないが、相乗効果の面から、いずれ持ち株会社への移行といった抜本的な見直しが必要になりそうだ。「大きすぎて制御不能」という厳しい意見も。

16位 国際石油開発帝石(東1・1605/1株)

国策エネルギー会社。長期投資向き。

政府系の石油開発会社で、世界的には準メジャーのポジションになる。原油価格に株価が連動するため、世界的な景気拡大だけでなく、中東情勢の緊張なども買い材料になる。海外油田からの原油産出量にブレーキがかかるほか、シェールガス革命による原油や天然ガスの国際市況軟化がマイナス要因として作用し、株価は下落を強いられてきた。ただ、資源会社自体が不要になることはなく、政府も自前の資源権益確保を強く後押ししている。エネルギー市況は読みが難しいが、長期投資で狙うには面白い企業だろう。

※ 10月1日より売買単位を100株に変更。

17位 キリンホールディングス(東1・2503/1000株)

飲料や医薬品にも多面展開。海外も強化中

ビール業界2位にして、非アルコール飲料(キリンビバレッジ)や医薬品(協和発酵キリン)にも力を入れている。豪州やブラジルなどにも進出し、成長加速を狙っている。TPP加入による食料品や農産物の輸入自由化も同社にとって追い風になるとみられる。食品業界はよくも悪くも安定産業のイメージが強いが、この会社に関しては積極的に成長シナリオを追っている点で機関投資家の評価も高い。IR(投資家向け広報)も充実しており、国内外の機関投資家による長期保有比率もジワジワと高まっているようだ。