「日常の中でも何か出来る」と気づくきっかけに/小槻 博文
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世界の子どもたちを支援することを目的に2005年から毎年開催されているチャリティマラソン「PARACUP 〜世界の子どもたちに贈るRUN〜」。
今回は同イベントを主催する一般社団法人PARACUP代表の森村ゆきさんに話を聴いた。


一般社団法人PARACUPでは「ランニングを通じた社会貢献」をコンセプトに、2005年からチャリティマラソン「PARACUP 〜世界の子どもたちに贈るRUN〜(以下PARACUP)」を、また2011年からは震災復興支援として仙台にて毎年10月に「PARACUP SENDAI」を開催している。





そしてこれら大会を通じて得られる参加費や協賛金、寄付といった収益は、経費を除いたうえで発展途上国の学校建設や図書寄贈、奨学金援助など、教育関連分野を中心に世界各国の子供たちに対する支援に遣われている。


なお同団体自体では直接的な支援先を持っているわけではなく、カタリバやかものはしプロジェクトなど、教育関連や復興支援の活動を行っている団体に対して資金支援するスキームを採っている。というのも同団体のメンバーはほかにも仕事を持ちながら活動しているため、各分野にて専門的支援を行っている団体に活動してもらうほうが効果的な支援につながることと考えているからだ。


そのようななかで、チャリティマラソンの参加者を増やすためのコミュニケーションとして、大きくはパブリシティとSNSを活用しているそうだ。


初期のころは知り合いづてに声をかけながら参加者を集めていたそうだが、その流れの中でマスコミ関係者にアプローチすることによって、次第にさまざまな媒体で取り上げてもらえるようになっていった。当時はまだチャリティマラソン自体が珍しかったことや、素人が立ち上げたチャリティマラソンという切り口がメディアの関心を惹き、スポーツ・ランニングメディアはもちろんキャリア系のメディアでも取り上げられた。


「“マラソン”という切り口だけですとどうしても対象メディアは限定的になってしまいますが、特に私たちのような活動はそこに関わっている人を切り口にすることにより、さまざまな可能性が広がるのだと思います。」(森村さん)


またこの1、2年はFacebookを中心に積極的に情報発信を進めていて、1日1回は必ず投稿するように心がけている。


「投稿の際は『私たちの活動を(特別なこととしてではなく)身近に感じてもらいたい』『日常のちょっとした行動が社会貢献につながることを知ってもらいたい』ということを意識し、それらが感覚的に伝わるように映像や画像などビジュアルを多用するようにしています。」(同)


そしてチャリティマラソンの開催、その集客のためのコミュニケーションを通じて、最終的には直接支援はもちろんのこと、「日常の中でも何か出来る」「一人ひとりのちょっとした行動が集まると大きな力になる」と気づくきっかけになり、そして新しい動きが生まれるような、そんな循環を作り出したいという。


一人ができること、一団体ができることには限りがある。しかしではやらないほうが良いのかというと決してそういうわけではなく、例え僅かであっても変化を生み出すことは可能だし、そして同じような取り組みをする人たちが増えていけば大きな力になっていく。


同団体と同様に当インタビュー企画もそんなきっかけになるべく、今後も様々なGOODな取り組みを発掘・紹介していきたいと思う。