オフショアBPOに潜む罠 (1)/日沖 博道
海外でシステム開発や業務処理を請け負うオフショアBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が大流行りである。しかしシステム開発の世界では、納期に間に合わない、結局高くついた、などの失敗事例が意外と多いようだ。
日本企業からシステム開発を受託する中堅・中小企業の経営者から、オフショア開発先を中国からベトナム辺りに移したいという話を立て続けに聞いた。「中国の人件費が高騰して儲からないから」と彼らの意見は共通している。しかし少し立ち入った事情を聞いてみると、問題の本質は違うように思える。
一つの典型的パターンは、日本の顧客企業のシステム要件がどんどん変化することに対応しきれずに、進捗の遅れを取り戻すために開発者数を追加投入せざるを得なくなってしまう。もう一つのパターンは、要件通りに作ったのに、いざシステムを動かしてみると「使いづらい」と散々な不評を買ってしまい、作り直しを余儀なくされる。いずれの場合も言葉の壁のせいで随分手間取ってしまうというものだ。
結果として日本で開発していたときと大して変わらないか、却ってコスト増になってしまう。ところが海外での開発をウリにしているものだから、随分安い金額で受注しており、大きな赤字を出す事態が続出するのである。
要は、日本で開発していたときの課題(顧客の要求定義を早めに固められないことなど)が全く解決されないままオフショア開発にシフトしたため、日本側の営業SEと中国側の開発プログラマとの間のコミュニケーション・ギャップが致命症になってしまうのである。
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日本企業からシステム開発を受託する中堅・中小企業の経営者から、オフショア開発先を中国からベトナム辺りに移したいという話を立て続けに聞いた。「中国の人件費が高騰して儲からないから」と彼らの意見は共通している。しかし少し立ち入った事情を聞いてみると、問題の本質は違うように思える。
一つの典型的パターンは、日本の顧客企業のシステム要件がどんどん変化することに対応しきれずに、進捗の遅れを取り戻すために開発者数を追加投入せざるを得なくなってしまう。もう一つのパターンは、要件通りに作ったのに、いざシステムを動かしてみると「使いづらい」と散々な不評を買ってしまい、作り直しを余儀なくされる。いずれの場合も言葉の壁のせいで随分手間取ってしまうというものだ。
結果として日本で開発していたときと大して変わらないか、却ってコスト増になってしまう。ところが海外での開発をウリにしているものだから、随分安い金額で受注しており、大きな赤字を出す事態が続出するのである。
要は、日本で開発していたときの課題(顧客の要求定義を早めに固められないことなど)が全く解決されないままオフショア開発にシフトしたため、日本側の営業SEと中国側の開発プログラマとの間のコミュニケーション・ギャップが致命症になってしまうのである。
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