2014年1月からスタートする少額投資非課税制度(NISA=ニーサ)について、銀行、証券会社などの間で、非課税口座開設の事前申込み獲得競争が熱を帯び始めた。野村アセットのリテール・クライアント戦略部NISAプロジェクトチーム シニア・マネージャーの野本裕一氏<写真=左>と、NISAプロジェクト主任研究員の住田友男氏<写真=右>にNISA意識調査について聞いた。(写真:サーチナ撮影)

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 2014年1月からスタートする少額投資非課税制度(NISA=ニーサ)について、銀行、証券会社などの間で、非課税口座開設の事前申込み獲得競争が熱を帯び始めた。各社では顧客セミナーやNISAに関する冊子やパンフレットを顧客宛に郵送するなど、NISAの認知度向上に熱心だ。このような金融機関側の働きかけに、口座を開設する一般消費者の反応はどうなっているのか? 野村アセットマネジメントはNISAについて約8万人に意識調査を実施し、消費者の関心や行動について詳細に分析している。野村アセットのリテール・クライアント戦略部NISAプロジェクトチーム シニア・マネージャーの野本裕一氏<写真=左>と、NISAプロジェクト主任研究員の住田友男氏<写真=右>に分析結果について聞いた。

 NISAの口座開設手続きの開始は、2013年10月1日だが、「NISA口座は、1人1口座」と決まっている。一旦口座開設をすると、2014年から2017年の当初4年間は他の金融機関に口座を移し変えることができなくなってしまうので、金融機関の選択には、NISA制度について理解した上で、各社のサービス内容を良く検討して決定したい。

<NISAは「非課税」の理解が深まれば、利用意向も拡大する>

――「NISAに関する意識調査」を大規模に実施されたそうですが、調査結果から分かったことは?

住田 調査は2013年3月に実施しました。全国の20歳以上の男女9万人に対してインターネット調査を行い、有効回答のあった8万1749人の調査結果を分析しました。調査時点では、「NISA」という愛称も公表されていませんでしたが、NISAに関する皆さんの関心や、利用意向について興味深い結果を得ることができました。

 まず、少額投資非課税制度に対する認知を聞くと、78%が「知らない」と答え、「名前も内容も知っている」は、6%に留まりました。また、NISAに対する利用意向を聞くと、50%が「わからない」と答え、「利用を考えていない」(25%)を含めると75%が消極的な態度でした。ところが、制度内容の説明後に利用意向を聞くと、「わからない」と答えていた層の1%ポイントが「利用したい」に、13%ポイントが「検討したい」に転じました。「利用を考えていない」層からも、0.2%ポイントが「利用したい」に、4%ポイントが「検討したい」に転じています。結果として、NISAを「利用したい」という回答は9%に高まりました。これを20歳以上人口(1億501万人)に対する割合として計算すると、約969万人が制度を利用したい「潜在的利用者数」とみなすことができます。

 一方、非課税口座開設時期を聞くと、全体の11%が2013年中にも開設手続きを行いたいと答え、うち、すでに金融機関についても決めている割合は全体の4%でした。また、「現時点では何も決まっていない」が75%を占めています。この「何も決まっていない」という割合は、NISAについての利用意向の結果と符合します。

野本 金融機関のセミナーなどでのお客さまの反応をみると、「NISA」という言葉は知らなくても、「マル優」(少額貯蓄非課税制度)については知っている方が多いようです。「マル優」制度は2005年12月末で原則廃止されていますが、皆さん「非課税口座」ということで覚えておいでです。2013年12月末の証券優遇税制の終了、2014年4月の消費税増税など税金が上がる話が出てきている中で、「非課税制度」への関心は高く、NISAについての理解が深まるとともに、「利用したい」という方々は、もっと増えるのではないかと感じています。

<NISA口座の運用商品は「投資信託」が約7割に>

――NISA口座での具体的な投資額や投資商品については?

住田 具体的な投資行動については、約8万サンプルの中から、投資信託を「現在保有している方」「現在は保有していないが保有意向のある方」「現在保有していないし保有意向もない方」をサンプル抽出した6358サンプルを使って分析しました。

 その結果、「初年度の投資額」は、平均62万円。非課税投資の上限額の100万円を投資する意向があるのは全体の45%でした。さらに、5年分の累計額(上限500万円)を聞くと、平均は約270万円でした。この結果に、潜在的利用者(969万人)を掛け算すると、NISAの潜在的な総投資額は、約26兆円と試算できます。この金額は、政府が「日本再生戦略」において、2020年までの目標としている25兆円をやや上回ります。

 また、投資資金の資金源を聞いたところ、「預貯金など」が47%、「月々の収入」(12%)、「ボーナス」(5%)、「退職金」(2%)など、手持ち資金を投資に回そうという意向が読み取れます。「他の株式・債券を売ったお金」が25%、「他の投資信託を売ったお金」は5%でした。

 一方、具体的な投資商品について聞くと、「投資信託のみ」との回答が42%、「投資信託と株式投資の組み合わせ」が26%、「株式投資のみ」が31%で、投資信託を活用するという回答が全体の69%となりました。

<NISA運用の核心に応える「ネクストコア」>

――野村アセットとして、NISA向けの商品は?

野本 今回の調査で、NISA口座で投資したい金融商品について聞いたところ、全体としては「低リスク型」「低コスト型」への関心が高いことが分かりました。また、若い層を除けば「分配金型」への関心も高く、「リスクを抑制したリスクコントロール型」への投資意欲も見られました。一方、「思い切ってリスクを取る」との回答も2割程度ありました。

 当社では、NISA利用者のニーズが最も高い「低リスク」に着目し、「ネクストコア」(設定は2013年1月31日)という商品を金融機関に積極的に提案しています。このファンドは、株式・REITや債券に分散投資し、リスク水準を年5%程度に抑えて運用する商品です。運用ポートフォリオは、資産の価格変動が大きくなる局面では債券を中心に運用し、変動が小さな局面では株式やREITの投資比率を高めます。

 実は、低リスク型の投資信託の品揃えは、これまで投資信託市場で手薄な分野でした。NISA導入の話が本格化してきた頃から、運用会社各社が「低リスク」の商品を提供し始めました。バランスファンドのリスク水準は、7%−10%が一般的ですが、「ネクストコア」が提案する年5%程度というリスク水準は、低リスク型の中でも、低いゾーンのリスク水準になっています。

 一方で、「積極的にリスクを取りたい」というお客さま向けには、「Funds−i(ファンズアイ)」というインデックスファンドを提案しています。対象資産は8資産で11本のインデックスファンドをラインナップしていますが、いずれも運用管理費用が低めに設定してありますので、「低コスト」を望まれるお客さまの希望に応えることもできます。

<NISAは「銀行の投信窓販」を上回るインパクト>

――今後の野村アセットのNISA対策は?

野本 非課税の投資口座として、「NISA」が「マル優」に匹敵するような国民的な制度に育っていくよう、様々なサポートをしていきたいと考えています。当社では昨年の8月より社内横断のISAプロジェクトを発足し、今年4月にNISAの専門チーム(専任担当者:7名)を組織しました。まずは、販売会社の皆様に様々なサポートツールをご提供したり、1月に開設したNISA特設サイトでの情報提供等を通じて、NISAの認知や理解向上に寄与していきたいと思っています。今回の意識調査も、7月にも再度実施する計画ですし、定点観測のように調査を継続し、皆さまがどのようにNISAを活用されているのかを、積極的に情報発信していきたいと思っています。

 1998年12月に銀行の窓口で投資信託の販売が開始され、それまでの証券会社に限られていた窓口が大きく開いたことによって、投資信託の活用が活発になりました。今回のNISAは、「非課税」という明確なメリットがある制度なので、銀行の窓販解禁よりも、大きなインパクトを投資信託市場に与えると考えます。この制度をきっかけに、投資信託を購入しようと考えられる方も少なくないでしょう。投資信託の商品提供にとどまらず、資産運用の基本的な考え方の分かりやすい解説など、運用の専門会社としてできることに積極的に取り組んでまいります。(編集担当:徳永浩)