プレミア2連覇を目指すマンチェスター・シティのスポーツディレクターにチキ・ベギリスタイン氏が就任した。ロベルト・マンチーニ監督のマンチェスター・シティにおける将来は、バルセロナからやってきたフェラン・ソリアーノCEOとベギリスタイン新ディレクターの両者と上手くやっていく能力があるかどうかにかかっている。

バルセロナで7年間テクニカルディレクターを務めたベギリスタインは、シティでは主にファーストチームの選手補強を担当するが、これはマンチーニ監督の“敗北”を意味すると言っても過言ではない。
ブライアン・マーウッドCEOとの確執が原因で、過去の移籍市場で自由に動けなかったマンチーニ監督は、新戦力獲得における支配力を強めることを求めていた。しかしながら、彼の独裁的なアプローチが複数の主力選手を疎遠にさせている点、そして2年連続でCL決勝トーナメント進出を逃す危機に直面している点が問題視され、マンチーニが実権を掌握するのではなく、バルサで数々のタイトルを手にしたベギリスタインが迎え入れられた、というわけである。

大富豪シェイク・マンスールがオーナーとなって以降、いわば金にものを言わせる大型補強を敢行してきたシティだが、今後は“持続可能性”をキーワードに、アカデミー出身の選手や世界中から獲得してきた若手たちをファーストチームで活躍出来る一流選手に育てることにターゲットをシフトする。チェルシー、トッテナム、リヴァプールからも同様のポジションで誘われていたベギリスタインの招聘に成功した背景には、かつて共に仕事し、同じ信念を持つソリアーノCEOの存在が大きい。

バルセロナで成功を収めた二人が再びタッグを組むことになったことについて、マンチーニ監督は何もコメントしていないが、心中穏やかではないだろう。なぜなら、両者は現在休職中のジョゼップ・グアルディオラと親しい関係にあるからだ。この元バルサコンビと良好な関係を築き、かつ今シーズン実績を出さなければ、マンチーニといえども指揮官の座は危うい。来年の夏に監督業を再開すると噂されるグアルディオラの影が自身の背後に忍び寄っているのを、マンチーニ監督は敏感に感じ取っているはずだ。