ジム・ミラーの低い姿勢から放たれるパンチ、頭の高さは、テイクダウン狙いと変わらず。相手は読み辛い

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5日(土・現地時間)にニュージャージー州イーストラザフォードのアイゾッド・センターで行われるUFC on FOX03「Diaz vs Miller」。メインは過去3年間で世界戦が3カードしか行われていないライト級から、次期挑戦者が決まるやもしれないネイト・ディアズ×ジム・ミラーという興味深い一戦が用意されている。

8月あるいは9月に、王者ベン・ヘンダーソンに元王者フランク・エドガーが挑戦する選手権試合が組まれる予定のUFCライト級戦線。2010年はBJ・ペン×エドガー、2011年はエドガー×グレイ・メイナード、そして今年はヘンダーソン×エドガーと3つの顔合わせしか組まれていない頂上対決に、ネイトが割って入る可能性が出てきた。

米国の一部報道によると、ネイトがこの試合でミラーに勝った場合は、王座挑戦もあり得るという発言をしたという。ウェルター級転向に失敗し、五味隆典、ドナルド・セラーニに連勝中のネイトに挑戦権が巡ってくるだけ、ミラーの力が評価されているということでもある。

ヘンゾ・グレイシーの黒帯ジェイミー・クルーズ門下、AMAファイトクラブで実弟ダンやチャーリー・ブレネマン、シェーン・サンテーラらとトレーニングをするミラーの強味は、何と言ってもフィジカルにある。15分間、疲れることを知らずハイペースで動きまわることができるのは、元米国ボブスレー代表の肩書を持つマーチン・ルーニーの指導の下、コンディショニング・トレーニングに励んでいる結果だ。

長身+リーチに優るネイトは、ここ最近ボクシングの成長が著しい。サウスポー同士という構図は、本来、組みついて削っていきたいミラーに不利に働く可能性が高いが、そこが体力を背景とした精神力の強さが生きる場でもある。

左フックに合わせて奥足、右ジャブに合わせて前足、どちらに組みついてドライブを可能にするか。テイクダウン狙いをスプロールするのでなく、組んで応えることが多いネイトは、組ませない距離で戦うことが勝利への近道。ネイトの右ジャブか、ミラーのテイクダウン狙いか。

UFCで7連勝を挙げ(通算8勝1敗。※現在は9勝2敗)るも、タイトル挑戦が見えたベン・ヘン戦ではサウスポー対決に敗れたミラー、ライト級のトップどころと戦い続けてきたネイト。70キロのトップグループの対戦は、寝技に移ればどちらも一本勝ちする力を持っている、どの局面でも拮抗したタフ・ファイトになりそうだ。
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