『バファローベル公式フォトブック ベルがいっぱい』(2011年11月9日発売/PHP研究所/バファローベル著)
ちなみに本書には、生身のおねえさんたちで結成されているバファローズのチアリーダー、Bs Dreams(ビーズドリームス)のトークも収録されている。彼女たちには1ミリも罪はないのだが、この写真集を買うであろう読者にとっては、わりとどうでもいい。顧客が望んでいるものとは違うということを『もしドラ』で学ばなかったのだろうか

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いま、野球ファンの男どもの心をつかんで離さない女の子がいる。ややダブダブぎみに羽織ったユニフォーム、ふっくらとしたほっぺ、くりくりとした大きな目、斜めに切りそろえられた前髪、丸くてちょこんと上を向いた鼻、そして金色に輝くツノ……。

そう、オリックス・バファローズの球団マスコット、バファローベルちゃんだ。

萌え方面の知識にはまったく疎いオッサンのわたくしではあるが、可愛らしい萌えキャラを呼ぶときには「○○ちゃん」ではなくて「○○タン」と言うことぐらいは知っている。知ってたからなんなのかっつー話ではあるが、とにかくバファローベル、つまりはベルタンなのだ。まあ、この先もベルタンベルタン言い続けるのは我ながらキモイと思うので、普通に「ベル」と呼ばせていただくが、とにかく見た瞬間にキューンとなってしまったのだ。50歳のおっさんが。

バファローベルというのは、2011年からオリックス・バファローズの球団マスコットとして登場したキャラクターだ。それまでは、ネッピーとリプシーという2名が球団マスコットを務めていたが、それほど大きな人気を獲得するには至らなかった。
ところが、これに替わって雄牛キャラのブルと、その妹ベルが登場するや、あまりの可愛らしさに(ベルだけ)大人気となってしまったのだ。
その人気を受けて刊行されたのが、今回ご紹介する写真集『バファローベル公式フォトブック ベルがいっぱい』なのだった。

いやホントに、何度も言うけど、わたしはこういうキャラクターに萌えたことなんかないんだよ。でも、バファローベルは違った。
野球は好きでよく見るし、球場まで観戦に行けば、試合の合間に様々なマスコットが飛んだり跳ねたりしているのも目にする。ハニーホーク(ソフトバンク)、ライナ(ライオンズ)、リーンちゃん(マリーンズ)、クラッチーナ(楽天)、ビッキー(ジャイアンツ)、つばみ(スワローズ)、ラッキー(タイガース)、ホッシーナ(ベイスターズ)などなど、セパ両リーグほとんどの球団に女の子のマスコットがいる。
でも、ベルはそのどれとも違うんだなー。その可愛らしさ、どう言えばいいんだろう。これを表現する言葉を持たない自分が恨めしい。

本書は、17cm×15cmという写真集にしてはやや小さめのサイズながら、緑の人工芝の上でゴロゴロ転がっていたり、スカートの端をつまんでご挨拶していたりといった、ベルの魅力をとらえた写真がぎっしり詰まっている。なかでも、ファンに人気の高い“フェンスにしがみついて試合の行方を見守るベル”の写真は、あまりの可愛らしさに思わず顔がニヤケてしまい、とても家族には見せられない。この本は見られてもいいが、これを眺めている自分の姿は絶対に見られるわけにはいかないのだ!

中盤には「ベルちゃんにしつもん」コーナーなんかもあって、ファンの心を和ませてくれる。
趣味はなんですか? との質問に「ベルマークを集めること」と、ネタだかマジだかよくわからない受け答えをするベル。好きな色は?「ピンク色」。そうこなくっちゃね。仲が良いマスコットはいますか?「みんななかよしだよ」。ウソつけ! ホントは燕太郎とドアラの野郎にセクハラされてムカついてるくせに!

……と、ここまで萌え萌えで読み進んできたのに、もう一人の球団マスコット、Dr.八カセのインタビューも載っていて、そのプロフィールんところに「牛型ロボットであるバファローブル、バファローベルを製作した」なんて恐ろしいことがサラリと書いてある。

えええ──っ、ベルタンって、ロボットだったのかよー!!

まあ、知ってたんですけどね。さらに言えば、これらのキャラをデザインしたのは、広告イラストから企業マスコットのデザインまで幅広く手掛けるイラストレーターの幸池重季さんだということも。

公式サイトなどに行けば、幸池さんの手による元デザインを見ることができる。ただ、これだといまひとつ萌えないんだよね。いや、元のデザインが悪いというわけじゃない。デザイン上のバファローベルだってじゅうぶん可愛くて、イラストならではの躍動感もあって全然合格なんだけど、でも、どこか違う。
バファローベルの本当のよさは、着ぐるみ化されたときに“中の人”が入る都合上、若干アレンジされたことで生まれている。バランスを取るために異常なデカさになってしまった足のサイズとか、常に開けっ放しの口、とかね。

中日ドラゴンズが球団史上初のリーグ連覇を果たしたにもかかわらず落合監督が解任されたり、横浜ベイスターズが携帯ゲームのDeNAに買収されて球団名が変わったりするなど、来期に向けても何かと話題のあるプロ野球だが、わたしは少なくともベルがいる間はオリックスバファローズを応援する!
(とみさわ昭仁)