メガネ越しに画面を見ると、視界が少々暖色系に。メガネを外すと思いのほか、世の中には青色の光があふれていることに気づかされます

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ゲーム禁止、テレビは一日一時間まで。そんな昭和の家庭に育ったぼくは、裸眼の視力が右目1.2、左目1.5。いままで、メガネのお世話になったこともないし、当然メガネ屋さんでメガネを買うという行為にも、縁がありませんでした。

といっても仕事柄、一日10時間以上パソコンの画面に向かうこともしばしば。モニターをずっと見つめていると目もしょぼしょぼとしてきます。最近では眼精疲労や目のかすみ・痛み、ドライアイ、視力低下などの症状につながる、VDT(Visual Display Terminal)症候群とか「テクノストレス眼症」なんていう名前の疾患も耳にします。そんな時、「目を守る」というPC用メガネが発売されたというニュースが! どうやらこのメガネ、網膜への影響の強い青色光をカットして、目の疲れを抑えるというのです。

発売元はSPAという業態で急成長する「JINS」。「SPA」と言っても、雑誌や温泉じゃありません。ファッションを手がけるユニクロに代表される、企画・製造から販売までを手がける製造小売業の形態です。足を運んだ新宿・ミロードにあるJINSの店頭もユニクロ同様、清潔感とオシャレ感を兼ね備えています。ただし、メガネ屋なので当然ながら店内は右を見ても左を見ても、全部メガネ! オシャレメガネさん御用達のセレクトショップのようで、メガネ未経験のぼくは少し腰が引けてしまいました。

お目当てのPC用メガネ「JINS PC」は店頭の一番目立つところに、16種類がドーンと陳列されていました。デザインは一種類で、違いはカラーバリエーションのみ。今後も滅多に買わないだろうアイテムということで、ドン小西先生よろしく思いきって白いフレームの一本を選択してみました。

帰宅後早速かけた姿を鏡で見るとどうにもうさん臭い。でもレンズ越しに見たパソコンの画面は全体にアイボリーがかったやさしい色味に変わりました。確かに青色の冷たい光が抑えられているようです。画面だけでなく、冷たい光の蛍光灯の室内まで少しあたたかく見えます。

ただ、そうなるとデザイナーなど「色」を扱う職業の人はうかつにかけられないかも……。対象物の色が明らかに変わって見えてしまうし、メガネを外した直後は、どうしても寒色に対する意識が強くなる。また、輝度の低いモニターを見るときなど、かける場面、かけない場面をうまいこと使い分けたいところです。

他の各メーカーからは度付きのレンズも発売されているので、メガネを常用している人はそちらを選ぶ手もありますが、「JINS PC」の価格は3990円とリーズナブル。まずはコンタクトレンズ+「JINS PC」で、一度青色光のカット体験を積んでみるというやり方がいい気がします。


ちなみにオシャレメガネの白いフレームは似合う似合わない以前の問題として失敗でした。顔の大きさに由来する、やたらと広い視野が災いして、視界に白いフレームが入り込んできます。もうこれが気になって仕方がありません。普段メガネを使っている知り合いに試してもらうと「軽くて、ズレないし、いいフレームじゃん」などと言うのですが、正直、初日、2日目あたりはインプレッションどころではありませんでした。

3日目頃から、ようやくメガネをかけるという行為にも慣れてきました。気にならないというレベルまでは到達しませんでしたが、4日目、5日目と習慣化してくると、メガネをかける→仕事をする、外す→休憩という、仕事のスイッチにもなってきます。メガネ越しの視界に意識が集中するため、集中力が高まるような気もします。

それにしても……。実はこの数日間の実験期間中、メガネ姿を見た同僚や仕事相手から、漏れなく爆笑をいただきました。普段そんなリアクションを頂くことのない、僕にとって恐るべき破壊力です。いろんな意味で人生を変えたい方、「JINS PC」を試すという手は「アリ」かもしれません。
(松浦達也)