内部告発情報サイト「ウィキリークス」は28日、米外交文書約25万件の一部を公開した。文書には、米韓で行われた北朝鮮崩壊後の対応策協議や、中国政府のハッカー攻撃疑惑、北朝鮮とイランの軍事協力などが含まれており、オバマ政権に深刻な影響を与えるとともに、文書に登場した当事国間の関係悪化も懸念されている。

 ホワイトハウスのギブズ報道官は公開直前に、機密情報の暴露について「米国のみならず、同盟・友好国の外交上の利益に多大な打撃を受ける」と非難している。また米国国防総省報道官のブライアン・ホイットマン氏は、米外交文書公表後、声明を述べている。

 声明によると、機密情報の流出は、2001年9月11日の同時多発テロの発生後、政府内で情報共有を促進するために、秘密文書を共有できる軍のネットワークを構築したが、そのことが裏目に出たとの見方を示している。政府の調査委員会は、政府内で十分な情報が共有されていなかったことが原因となって、テロを未然に防げなかったと批判を受けた。このネットワークを利用し、各省庁が情報共有することが促進されたという。

 ホイットマン氏は「情報セキュリティー管理と任務遂行にあたっての情報共有のバランスを保つことが重要な課題となる」と語っている。しかし、個人またはグループがコンピューターにアクセスし、情報を盗むことを容易にしたという点で、努力は逆効果となったとも指摘もある。

 一方、ゲーツ国防長官は、8月に機密情報の保護に関する見直しを命じている。これにより、機密扱いのデータをマシン間で移行させるシステム数を限定したり、作業を2人で行うことを義務付けるなど、疑わしい行動の監視強化などを実施しているという。(編集担当:田島波留・山口幸治)



■最新記事
ウィキリークスが公開、米国務省、国連高官スパイ指示か
ウィキリークス文書報道、米韓、南北統一後を協議
ウィキリークスの創設者、人権理事会でアメリカを告発
何が出るかな??機密暴露のウィキリークス、次の標的は中国、ロシア
告発サイト創設者が会見、米軍機密文書はイラクの「真実」