W杯一次リーグ第2戦（6月17日）メキシコ戦のハーフタイムに控え室でドメネク監督を罵倒し、チームの空中分解を招いたとして、フランスサッカー連盟（FFF）の規律委員会から18試合出場停止の処分を受けたニコラ・アネルカ（チェルシー）。31歳のアネルカをおよそ2年間にわたり代表から締め出す決定は、“永久追放”にも等しい重い処分だ。

　アネルカはこの決定について、18日付のフランス・ソワール紙に「俺にしてみりゃ、委員会だの何だのって話は、何を血迷ってるんだかわからんが、メンツを失わないための見せかけだね。奴らは無に対して処罰を下したようなもの。何しろニコラ・アネルカはこのみじめで滑稽な話の中にまったく存在しなかったのだから」と激しい言葉で語った。

「6月19日にナイズナ（南ア）で俺をチームから追放したとき、レ・ブルーのページはめくられた」と話すアネルカ。「奴らは最後にもういちどページをめくって観客を喜ばせる必要があった。ローラン・ブラン（新監督）が落ち着いて仕事ができるようにね」とFFFの“欺瞞”を指摘し、「奴らはとんでもない道化師だよ。死ぬほど笑っちまうね！」と代表に未練がないかのように吐き捨てた。

　なおレキップ紙によると、UNFP（全国プロサッカー選手組合）は、アネルカらに対する今回の処分が「政界・メディアの圧力」を背景にしていると分析し、「アンバランス」と批判している。またアネルカが規律委員会の招集にいっさい応じなかったことに対する制裁の意味合いも含まれていることを示唆した。

　UNFPはアネルカの“暴言”がテレビカメラの前で吐かれたのならともかく、控え室という内輪の空間で言われただけという事実を強調し、事態を収拾できなかったFFFに第一の責任があると主張している。さらには、2008年のドメネク監督続投という“失敗”にも触れ、「FFF理事会だけが責任を免れているのは不可解」と疑念を明らかにした。

　またAFP（フランス通信）によると、副将としての名目で3試合の出場停止処分を下されたフランク・リベリ（バイエルン・ミュンヘン）も「なぜ自分たちだけなのか理解できない」と不満を述べている。W杯開催中のアネルカ追放を受けて実行された練習ボイコットは、強権を発動したFFFに対する抗議という目的があった。今回の処分による新たな強権の発動で、選手とFFFとの間の溝はさらに深まった感がある。