――1曲目の「N07B」というタイトルは何の略ですか?

MEG:これはamadanaケータイの製品番号です(笑)。ほぼ即興みたいな感じで「amadanaの着信音っぽくない?」とか言って盛り上がって、その場で出来ました。

――以前に話を伺った時に、今回のアルバムは「メロディ重視」という話もありましたが、ゆったりしたミディアムテンポの曲が増えて、オープニングの「N07B」とエンディングの「MAVERICK」は特にピアノの音色が印象的に聴こえました。

MEG:「N07B」は1番最初に録ったので、「アルバムの1曲目にもすごくいいよね」って話しましたね。中田くんは曲を並べてみて、またアレンジを変えたりもする人なので、「MAVERICK」は多分それで合わせた所もあるかも知れない。

――最後の曲の「MAVERICK」の歌詞を見ると、“カリスマ歌手”じゃないですけど(笑)、恋愛の話のように思えて。でも、最初の4行は仕事について書かれているようにも思えて。

MEG:最初のほうは仕事っぽくも思えるかもしれないけど、きっと何か違うようなシチュエーションも、例えば不倫みたいな状況とか人にも当てはまるのかもなと思いましたね(笑)。デモを聴いた時に「こういう雰囲気のを待ってた!」という感じだったので、歌詞がすごくスムースに正直に出来たんですよね。

――仕事のように感じたのは、「ただ一言でも 方向を決める」という歌詞が、有言実行なMEGさんらしいというか。毎回インタビューの最後に今後の話を聞くと、次にお会いした時には大抵実現されているので、MEGさんの一言で各所の方向性が決まるような印象をもっていました。

MEG:そうですね。でも逆に、ハンドリングを知らない誰かに委ねるのって、すごく不安じゃないですか?(笑)。「自分のことなのにこれからの行き先大丈夫か?」って思いますね。

――関わるスタッフは大勢いるので、本当は他の人の意見も聞きたいのに、あまりにも自分の意見が通り過ぎると、不安に感じることは無いですか?

MEG:ありますよ。本当に、自分一人のジャッジだと一人分の視野しかないから「もっとチームで協力できたらいいのに」っていつも思うんですけど。アーティストとスタッフの目指している所だったり、熱意が同じぐらいじゃないと、そういうのって上手く進まないと思うんですよ。その温度差には引っ掛かったりしますよね。この「MAVERICK」というタイトルも、昔からのやり方とか、もう定番のルーティーンみたいなものに当てはめちゃって、それ以上考えることをしないパターンが見えていて。「果たしてそれが今の時代に合っているのか、もうちょっと考えた方がいいのに」って去年ぐらいからすごく思っていて。

例えば配信もストリーミングもそうだし、一昔前だったら試聴と言えばCD屋さんで試聴機を聴くという動きが一番近かったかもしれないけど、今はもっとiPhoneだって普通の子達が買うような時代になっているし、パソコンだってあるし。身近に聴けるツールがたくさんあるのに、そこに対応していないというか。「ちゃんと作った音楽を聴いてもらえるように繋げる作業がきちんと整備されていないな」ってすごく思って。だからといって、昔からのやり方でやっていくのは、すごく合ってないと思ったり。「もうちょっと新しいことをやろうよ」って、自分だけじゃなくて組織自体もそういう風になっていくといいのにな、というもどかしさはすごくありますね。

――音楽業界は制作の進歩に対して、宣伝手法が旧態依然と遅れていて、未だに既存4媒体へのプロモーションを慣習的に続けていたり、webに対する理解は残念ながら他業界と比べても低いと感じますね。

MEG:本当にそう。宇川さんが「DOMMUNEで何かやろうよ!」と言ってくれたりするんですけど、レコード会社の規定もあって音楽は流せないし、出来ないことが多い。

――スタッフィングや、音楽制作の環境を変えたいというのはありますか?

MEG:「もっとこうだったら楽しんでもらいやすくなるのに!」というのはありますね。