(撮影:野原誠治)

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岸野新監督にとって、一番頼りになるのは柳沢将之選手かもしれない。自身が行ったジュニアユースのセレクションで目をつけて以来、18年にもなる師弟コンビなのだ。サイドを駆け上がる本来のプレーに加え、監督の考えを性格にチームに伝える役も担うことになる。


――柳沢選手は東京Vのジュニアユースの選抜の際、1000人の中から1人だけ自分が選んだ選手だと、岸野監督が語っていました。

「それは大げさですね。300人から3人ぐらいだったと思います(笑)。地元の少年団から東京Vのジュニアユースに入ったんです。何で目をつけてもらったんですか分からなかったですけどね」

――それで岸野監督とはそれ以来の関係ですね。岸野監督が鳥栖に行った最初の3年は別々でしたが、2009年からはまた同じチームです。

「プロになってからはまず東京Vで4年一緒で、鳥栖でも1年ですからプロになってからは5年経ちました。今回は横浜FCから本気で昇格したいという話を聞きましたし、それに自分は出身が神奈川県なので、そういう意味もあって今年鳥栖から移籍しました。難しい決断だったのですが自分のチャレンジとして決めました」

――監督にとってもお互いの考えがよく分かるという点で頼りになるのではないでしょうか。

「そうですかね。確かに監督が考えていることはよく分かりますし、こっちの考えも分かっていただいていると思います」

――怒られ役にもやらなければなりません。

「それは自然にやってます(笑)」

――岸野監督の魅力は何ですか?

「熱い方ですね。一生懸命さが伝わってくるし、それは自分が中学1年の時から変わっていません」

――岸野監督によれば、柳沢選手はムードも作ってくれる人だ、と。

「暗いよりも楽しくやったほうがいいですもんね。サッカーでも違う分野でも明るくやったほうがいいと思ってますし、そっちが自分の力も発揮できると思っています」

――そのほうが昇格のためにもなる?

「そうです。暗い雰囲気の中ではまとまることも難しいと思いますから」

――去年対戦して横浜FCにはどんな印象を持っていましたか?

「3戦しましたが、最初の対戦はケガで出場していませんでした。残りの2試合の印象は、ともかく1点取れば勝てるのではないかと思っていました」

――それはあまり点を取りに来るチームではなかったということですか?

「三ツ沢でやった試合の時、前半は横浜FCがリズムを握ってすごくいい戦いをやっていたんです。ですが前半の終了間際に鳥栖が点を取ったらムードがおとなしくなってしまった」

――ではムードを盛り上げる選手が入ったということはチームにとってプラスになりますね。

「そうなりたいですね。もともと知っている選手もいましたし、鳥栖から一緒に行った選手もいましたから、すんなりチームには馴染めました。新しいチームに来たというより、ここにずっといた気がするくらいです」

――チームの充実ぶりはいかがですか。

「練習でも100パーセント力を出してやっています。まだ完ぺきというわけではないですが、次第に上がってきていると思います。鳥栖の時も今以上にやっていたと思うので、今やっていることがノーマルになれば、さらに上を目指すこともできるでしょう。自分もC大阪から鳥栖に行って岸野監督に再開したときは、しんどいって思いました。練習は長いし、何でこんなに追い込むんだろうと思っていました。たぶん横浜FCに今までいた選手たちは、僕がC大阪から鳥栖に移籍した直後に思ったことを今経験していると思います。でもすぐに慣れるんですよ。それでもっと強くなっていくと思います」

――今年の個人の目標は何ですか?

「結果を出すことだと思っています。試合に出てアシストして。結果が一番大切なことです。去年以上に」