記者会見オープン化の公約を破った「怪物」の正体
鳩山由紀夫政権はスタート早々から「記者会見をオープンにする」という公約を反故にしてしまった。9月16日に官邸で行われた首相就任会見で、記者クラブ以外のメディアを締め出してしまったのだ。事の経緯は私のブログに詳しいが、ネット上でもすでに大きな話題となっている。
こうしたことが起きる危惧は、本連載の第5回や、選挙前に刊行した拙著『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』などで繰り返し述べてきたが、現実となってみると「リヴァイアサン」(国家権力という怪物)の恐ろしさを感じざるを得ない。本稿はそうした視点から今回の問題を解説してみたい。
まず1つ目は、鳩山首相自身は会見をオープンにしたいと言っているのに、官邸官僚が言うことを聞かず、勝手に記者会見をクローズにした可能性はなかったのかというもの。これは、民主党政権がディスクロージャー政策の一丁目一番地だった「記者会見のオープン方針」を転換したというよりも、官邸官僚の行動を掌握できていないために、自分たちの意向どおりの政策が実行されない問題ということになる。
要するに政権が自らのお膝元の官邸のガバナンスを握れていないことになり、これはこれで大きな問題だ。なぜなら、野党時代は当然のこととしてやってきた会見のオープン化という単純な方針においてさえガバナンスを発揮でないのであれば、他の大きな「革命的改革」なんてできっこないからである。
この説は、9月16日に「日経ビジネスオンライン」で井上理記者が「鳩山内閣早くも公約違反? 隠れた官僚支配の温床壊せず」で指摘している。要するに官僚が悪者で、民主党はその悪い官僚に手玉に取られているというストーリーになる。
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