吉本興業が2000年度から毎年発表し続けている「吉本男前ランキング」。2009年度の1位に輝いたのはライセンス・藤原一裕だった。

 イケメン芸人といえばチュートリアル・徳井義実だが、彼は3年連続で1位を獲得したため殿堂入りとなっており、投票することはできない。次長課長・井上聡も同様であり、この吉本イケメンツートップが抜けたことで、上位争いはさながら戦国乱世のごとし。そんな中、2008年に2位だった藤原が自動昇格に近い形で1位となったのは妥当といえよう。

 藤原はアメトーーク!の「ハンサム芸人」にも出演しているし、確かに顔はまずくはない。しかしこのランキングは単純に顔がよければ票が集まるというものではないのだ。過去の結果を見てみても、それなりに人気があって特定のファンを持つ芸人が上位にランクインされていることが多い。

 後輩芸人が次々と名を売っていく中、ライセンスはいまだ全国的には不遇であるといわざるを得ない。そんなライセンスに票が集まるのはもっと売れてもいいのにというフラストレーションとメジャーになりきれない芸人を応援し続けるレアリティとがごっちゃになった複雑なファン心理の表れなのではないか。

 1位以外に注目したいのが、2008年ではベスト10圏外だったはんにゃ・金田哲、NON STYLE・石田明がそれぞれ2位、3位にランクインしていること。2人はコンビとして昨年末から大躍進しており、ファンからすれば、人気がある→格好いい、というラインセンスとは真逆の単純明快な図式が見て取れる。10位のしずる・村上純は正統派イケメンだが、やはり人気が出たこととランキングの結果は無関係ではあるまい。

 気になるのが2008年までは常連組だった芸人たちがのきなみ圏外となっていること。麒麟・川島明、キングコング・西野亮廣、オリエンタルラジオ・藤森慎吾、フットボールアワー・後藤輝基、イケメン芸人の代名詞だったはずの彼らの名が今年はまったく挙がってこないのだ。このことからわかるのは、ファンが注目する層がシフトしてきていること。ランキングに名が挙がらないのは人気が衰えたのではなく、安定期に入ったためであろう。

 次に殿堂入りを果たしそうなのは、顔はずば抜けてよく、人気もそこそこあるハイキングウォーキング・松田洋昌、ロザン・菅広文あたりだろうか。松田はここ数年着実にランクアップを重ね、菅は2001年度以降毎年10位圏内にいる。今年の活躍しだいでは2010年度はどちらかが1位を飾ってもおかしくはない。

 そうそう、チュートリアル・福田充徳がランクインしていたことに首をかしげている人も多いだろうが、これには逸話がある。徳井によれば、徳井に票を入れたいけれども殿堂入りしているために叶わなかったファンが福田に投票しているのだそうだ。コンビの相方である徳井への愛を福田を通して訴えかける、あながち嘘ともいいきれない説得力があるのがおもしろい。同時に、芸人として成熟していても衰えないチュートの人気ぶりもうかがえる。

 お笑い芸人の男前度をランキングではかる、一見なんの意味もないことに思えるが、少し見方を変えるだけで非常に興味深いものとなる。あいつブサイクじゃん、などと一笑に付してしまっては、その笑いが自らに跳ね返ってくるとも限らないので注意されたし。

(編集部:三浦ヨーコ)


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