メモリメーカーのMicronが、メモリとストレージの供給不足は2027年と2028年にさらに深刻化するとの見通しを示しました。サンジェイ・メロートラCEOは需要と供給が均衡する時期を見通せないと説明し、不足が2028年以降も続く可能性を示唆しています。また、2027年向けの高帯域幅メモリ(HBM)について、顧客が2026年よりも大幅に高い価格を支払う契約を結んでいることを明らかにしました。

RAM supply set to worsen, says Micron, as CEO celebrates ‘much higher’ prices

https://www.theregister.com/systems/2026/10/01/ram-supply-set-to-worsen-says-micron-as-ceo-celebrates-much-higher-prices/5300346

Memory Maker Micron Sees Shortages Worsening Through 2028

https://winbuzzer.com/2026/10/01/memory-maker-micron-sees-shortages-worsening-through-2028-xcxwbn/

Memory squeeze set to tighten through 2028, Micron says - Computerworld

https://www.computerworld.com/article/4229635/memory-squeeze-set-to-tighten-through-2028-micron-says-3.html

Micronは2026年9月30日に開催した2026年度第4四半期の決算説明会で、今後のメモリ市場について説明しました。メロートラCEOは2027年と2028年の両年で需要が供給を上回り、2026年よりも供給不足が厳しくなると予測しています。業界各社が工場の増設を計画しているものの、需給が均衡に戻る時期は見えていないとのことです。



価格の上昇は、既に翌年の契約にも反映されています。Micronは2027年に供給するHBMの大部分について契約を締結しており、メロートラCEOは「顧客が2026年よりも『はるかに高い価格』を支払うことになる」と説明しました。WinBuzzerによると、HBMを含む2027年の全生産量の75%超について供給先が決まっており、顧客との協議の中心は2028年分へ移っています。

背景にあるのは、AIによるメモリ需要の拡大です。AIモデルの大規模化に加え、一度に扱う情報量や同時に処理するリクエストが増えることで、必要なメモリとストレージの容量も増加しています。需要はAIチップ向けのHBMだけでなく、サーバーで処理中のデータを保持するDRAMや、SSDに使われるNANDフラッシュにも及んでいます。

供給量そのものは増える見通しで、Micronは2027年と2028年に業界全体の容量ベースの出荷量がDRAMで毎年20%台前半、NANDで毎年20%台半ば伸びると予測しています。それでも需要に追いつかず、両年とも供給不足が続くとみています。



Micronは増産に向けて工場の建設を進めており、アメリカのアイダホ州にあるID1工場では2027年半ば、ID2工場では2028年後半にウエハーの生産を始める予定です。日本のDRAM工場の拡張分は2028年後半、シンガポールの新しいNAND工場は2028年下半期の生産開始を見込んでいます。ただし、新工場は稼働直後から大量に出荷できるわけではなく、供給への貢献が本格化するまでには数四半期かかると説明しています。

将来の需要として挙げられているのが、自動運転車やヒューマノイドロボットなど、現実世界で動作する「フィジカルAI」です。Micronによると、レベル4以上の自動運転車では通常200GB超のメモリと数TBのストレージが必要で、ヒューマノイドロボットにも同程度の容量が求められると予想されています。既に複数のフィジカルAI関連顧客が次世代製品のサンプルを評価しており、同社はこの分野が2020年代末までにメモリとストレージの需要を大きく押し上げる可能性があるとみています。



半導体事情に詳しいメディア・Computerworldは、こうした供給不足が企業の機器調達にも影響していると報じています。Computerworldによると、市場調査企業TrendForceの予測では、2026年第4四半期の従来型DRAMの契約価格は前四半期比で10~15%、NANDフラッシュは15~20%上昇する見通しだとのこと。値上がりのペースは鈍化しているものの、供給不足は解消していません。

TrendForceによると、メモリメーカーは先端製造プロセスの生産能力を高性能なサーバー向け製品に優先的に振り向けています。このため、2027年にはPC向けDRAMの供給が減少する可能性があります。スマートフォン向けでも、AI関連製品への生産能力の振り替えによって供給が制約されており、消費者向けの需要が弱くても値上がりが続く構図になっています。

購入するメモリの容量を抑える動きも出ています。TrendForceは、クラウド事業者や機器メーカーが2026年上半期以降、一部のサーバーで96GBや128GBのメモリモジュールから32GBや64GBのモジュールへ構成を変更していると報告しました。また、複数年の供給契約を結んだ顧客は契約条件によって価格上昇が抑えられる一方、契約のない顧客や契約量を超えて追加購入する顧客に値上げの影響が集中すると分析しています。

Computerworldの取材に応じたCounterpoint Researchのニール・シャー氏は、企業が機器の更新時期と既存設備の活用方法を見直す必要があると指摘しました。一般的な事務用PCなどは更新を遅らせる余地がある一方、基幹システムや技術者向けの機器では、生産性や故障リスクへの影響も考慮すべきだとしています。また、クラウドに移行しても事業者がハードウェアや電力のコストを利用料金に転嫁するため、値上がりを回避できるとは限らないと説明しました。

同氏は、費用を抑えるために旧世代のメモリを選ぶことにも注意を促しています。メーカーがHBMやDDR5へ生産を移しているため、DDR4も安価で豊富に供給される状況ではなくなっているとのことです。新しい機器の購入に先立ち、仮想マシンに割り当てるメモリ容量などを見直し、既存の設備で無駄に使っているメモリを減らすことを勧めています。