Amazonが配達員向けに導入を進めるスマートグラスについて、配達中に周囲の画像を繰り返し撮影し、配送の改善に活用する仕組みが報じられました。同社は配送の迅速化や誤配の削減が目的だと説明しています。一方、住宅の敷地内や人の姿が写り込む可能性があり、撮影を断る選択肢や画像の管理方法が課題となっています。

Amazon Drivers’ Smart Glasses Are Going to Be an Image Problem - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/opinion/articles/2026-09-30/amazon-drivers-smart-glasses-are-going-to-be-an-image-problem

Amazon’s delivery driver smart glasses will reportedly take photos ‘almost constantly’ | The Verge

https://www.theverge.com/tech/1002766/amazon-delivery-driver-smart-glasses-privacy

Amazonは2025年10月、配達員の作業を支援するスマートグラスの導入計画を発表しました。配達員は眼鏡型のディスプレーを通じて、持ち出す荷物が正しいかを確認したり、届け先までの案内を見たりできます。配達完了を知らせる写真の撮影にも対応し、従来スマートフォンで行っていた操作の手間を減らす狙いがあります。

Amazonが配達ドライバー向けAIスマートグラスを発表、配達先までのナビをレンズに投影して荷物スキャンや配達完了手続きも自動化 - GIGAZINE



Bloombergの取材によると、スマートグラスは配達員が徒歩で移動している間、一定の間隔で静止画を撮影し、1回の勤務で撮影枚数が数千枚に達する可能性があるとのこと。ただし、正確な撮影間隔は明らかになっていません。

集めた画像は、生成AIを活用するAmazonの「Wellspring」で利用されます。Wellspringは複数の情報源を組み合わせ、配送に役立つ地域の情報を整備するためのシステムで、車両を止めてから実際の置き配場所に着くまでの経路を把握し、届け先を探す時間や配達ミスの削減につなげることを目指しています。Amazonは、画像の利用目的は配送の改善であり、監視ではないと主張しています。



懸念されるのは、こうした撮影が住宅の裏庭など、配達員が仕事で立ち入る私有地にも及ぶ点です。Amazonによると、人や車両のナンバープレートには、人間の担当者が画像を確認する前にぼかしを入れるとのこと。しかし、Bloombergの取材時点では、顧客が撮影された画像を確認したり、削除を求めたりする手段は用意されていなかったそうです。また、画像の保存期間についても、同社は明らかにしていません。



配達員向けには、撮影を止める「プライバシーモード」が設けられています。休憩時や学校、軍事施設などに入る際の利用が想定されており、Amazonは位置情報に応じて自動的に撮影を停止する仕組みも検討しています。ただし、これは検討段階の対策であり、顧客が自宅周辺の撮影を拒否できる機能として提供されているわけではありません。

Bloombergによると、Amazonは2026年末までに5,000人、2027年末までに2万人超の配達員がスマートグラスを使用することを目指しており、試験導入では、すでに27万5000件を超える配達に使われたとのこと。Amazonは「配送事業者と配達員の利用は任意」としていますが、Bloombergは、配送の速さが求められる現場でその任意性が保たれるかにも疑問を呈しています。