サッカー日本代表はキリンチャレンジカップ2026でウルグアイ代表、ベネズエラ代表と対戦し、それぞれ3-1、2-1で勝利した。元日本代表FWで、現在はサッカー解説者として活躍する城彰二氏は2つの試合をどう見たのか。話を聞いた。

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ウルグアイ戦に臨む日本イレブン ©時事通信社

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「すぐに結果を出すところはただものじゃない」と称賛した初選出の選手

--ウルグアイ戦は苦戦しましたが3-1での勝利でした。初選出の選手のプレーは、どう映りましたか。

城彰二さん(以下、城) 松木(玖生)は、堂々とプレーしていたと思います。クラブ(サウサンプトンFC)でも右サイドをやっているので、自信を持ってボールを受けていたし、カットインしてシュートという得意のプレーから点が取れた。

 周囲との連係がどうかなって思っていたけど、うまく立ち回っていたので、チームのベースのところは理解してプレーしていた印象です。以前から代表に入りたいという思いが強く、今回代表に入ってすぐに結果を出すところはただものじゃないなって思いました。

--他に気になった選手はいましたか。

城 他は微妙だね。佐野航大は注目度が高かったけど、そこまでいいかというと、もうひとつだったと思う。ボールを奪ってからのビルドアップもそんなに良くなかったし、当たりの強さやボール奪取の凄さも感じなかった。

 その後に入って来た鎌田(大地)とは、ひとつもふたつもレベルが違うので、兄・海舟との兄弟での起用はまだまだかな。

「同じようなプレーしかできないと…」賛否両論あった塩貝健人への評価は?

--塩貝健人選手も初ゴールを挙げました。ただ、ゴールを決める前に3人に囲まれてパスを出さずにいたシーンでは、賛否両論ありました。

城 FWなので、ゴールを狙うのは大事なこと。塩貝自身も取りたいという気持ちが強かったと思うし、松木が点を取っていたので「俺も」と思ったと思う。それがプレーに出てしまった感じだよね。

 森保一さんからは「状況判断が大事」と言われていたけど、自分は狙っていいと思う。ベテランになったり、経験を積んだりすると周囲を使ってプレーできるけど、今はまだ若いし、このことを経験にしていけばいい。

 ただ、何試合も出てるのに、チャンスの時に今回と同じようなプレーしかできないと、使われなくなる。周囲の選手からも「ふざけるな」となるので、今後どう成長していくのか、楽しみです。

べネズエラ戦の前半は「ヒドかった」「うまく連係できず、ままならなかった」

--べネズエラ戦は、2-1での勝利でしたが、ウルグアイ戦から10名スタメンを入れ替えての試合でした。

城 前半はヒドかった。そりゃ10人も変えればうまくいかない。新しい選手を試すなら、レギュラーの選手がいるなかで、2、3人を起用するのが理想。その方が新しい選手がチームに順応するのに効率がいいんです。でも、これだけメンバーが変われば、連係は難しく、自分をアピールしたいと個々のプレーに特化してしまう。

 それではチームに入った時の個人の課題やチーム戦術への適合とかの問題が見えないんですよ。瀬古(歩夢)、渡辺(剛)、鈴木(淳之介)ら経験がある選手とボランチに鎌田がいたので、この4人でなんとかビルドアップはできたけど、いざ点を取るための攻撃になると、うまく連係できず、ままならなかった。

 守備面では、攻守の切り替えやプレスの場面などを練習で学んで意識高くやっていたけど、攻撃はかなりもたついた感がありました。

--攻撃陣は、どういうところに課題が見えましたか。

城 攻撃の際、FWの後藤(啓介)にボールが入らなかったけど、後藤にボールを入れるためにはどうしたらいいのか。後藤は、どう動けば良かったのか。そういう考えが足りなかった。

 齋藤(俊輔)も後藤にボールを入れる際、スペースを空ける動きをするとか、ボールが入った瞬間にサポートに行くとか、そういう工夫が見られなかった。初代表で緊張感もあったと思うけど、チームとして味方を活かし、自分がどう活きるのか、そういう感覚を持たないと生き残れない。

 中野(就斗)もほぼ試合から消えていた。右のウイングバックは、堂安(律)や伊東(純也)、菅原(由勢)ら層が厚いポジション。チャンスはそう何回もないので、起用された時にそれを掴めるかどうかというのは、代表で生き残るために大事なこと。中野は、次の試合でチャンスを与えられたら、やるしかないでしょう。

ベネズエラ戦で「自分の持ち味を発揮していた」と感じた選手は?

--新戦力、復帰組で良さが出ていた選手はいますか。

城 佐藤(龍之介)は、選手間の距離を考えてサポートし、落としてもらったボールを拾って次にどう展開するのかを心掛けてやっていた。

 田中(聡)は寄せの早さと強さ、切り替えの素早さとか、自分の持ち味を発揮していたし、鎌田、田中碧との関係も悪くなかったと思います。遠藤(航)が抜けた穴を狙っていけるんじゃないかな。

 あと、ウルグアイ戦で結果を残した塩貝も、森保さんはもう1回使うと思います。ただ、スタメンは難しいかなと。最初から自分でガンガン行くわけにはいかないし、守備面での連係にも課題がある。流れを変えられる選手だけど、監督としては最初からはちょっと使いにくいでしょうね。

--新戦力を含めた10人の入れ替えとか、北中米W杯前の森保監督の采配とはかなり異なるところがありますが、この背景には、何があると思いますか。

城 もちろん、次のW杯に向けて新戦力の発掘が大前提にあると思うんですけど、そこには森保さんの後を引き継ぐ大岩(剛)さんの考えとかも多少は活かされているんじゃないかなと思います。

 森保さんは、アジアカップまでと決まっているので、今回の選手選考も自分の考えだけということにはしていないと思うんです。それは、今回の新戦力と復帰組の大量招集から見て取れます。

 森保さんは、過去にこれだけ多くの新戦力や復帰組を招集することはなかった。しかも新戦力を招集してもほとんど起用しなかった。でも、今回は積極的に起用して、新しい選手を軸にガラッとスタメンを入れ替えた。

 たぶん、アジアカップ以降も続けるならこんなに呼ばなかったと思うんです。チームの主力の高年齢化が進むなか、今回の招集は、大岩さんのスタートに向けての準備みたいな部分もあると思います。

「周囲との連係を考えながらやっている」2試合で感じた主力組の実力

--2試合を見た結果、改めて主力組の存在は大きいと感じました。

城 やっぱり経験が豊富だし、落ち着いている。それに初招集された選手は矢印が自分だけど、レギュラーの意識は周囲に向いている。堂安も久保(建英)も自分のプレーはするけど、周囲との連係を考えながらやっているし、そういうプレーが随所に出ていた。

 彼らが出た時、安心して見ていられるのは大きいけど、そこに割って入る選手がいないとチームの成長は望めない。この2試合は新しい選手を加え、新しいチームを作っていく上での難しさみたいなものが露骨に出ていたと思います。

--主力組で言えば今回外れた三笘薫選手、南野拓実選手、小川航基選手、菅原選手らがいます。

城 今回は、新戦力を招集して試すという意図があったので、彼らは呼ばれなかったと思います。三笘は代表を離れて少し時間が経っているけど、それなりのプレーができるのはもう分かっている。

 南野は、どのくらい調子が上がっているのか分からないけど、順調であればアジアカップに招集される可能性が高いんじゃないかな。彼らは、どこかのタイミングで代表に戻ってくるでしょう。情報は逐一、森保さんに入っていると思うので。

「新しいコンビが生まれるかもしれない」キリンカップで期待する選手

--次はキリンカップになり、エクアドル戦を含め2試合あります。どういうところを見ていきたいですか。

城 新戦力の個ではなく、既存の選手を含めた組み合わせの良し悪しを見てみたい。上田綺世を1トップにして、鈴木唯人をシャドーに置いた場合、もう一人のシャドーは久保がいいのか、伊東がいいのか。

 ボランチでは佐野(海舟)と田中聡とのコンビですね。ふたりがどんな化学反応を起こすのか。新しいコンビが生まれるかもしれない。

--総入れ替えではなく、ポジションごとのテストみたいな感じでしょうか。

城 自分は、今回の4試合は“試し”という位置付けで見ています。親善試合ですし、今の時期は勝敗はどうでもいいかなと。とにかく、新戦力の選手、復活組の選手ともに時間を大切にしてほしい。

 代表は招集期間が短く、今回のようにこれだけ長く一緒にいられるのはなかなかない。練習やホテルでお互いにコミュニケーションを取り合いながら人間関係を深めていく。そうして試合で代表のやり方や連係を深めていくことが重要かなと。今回は、そういうチャレンジであることを前提に、少し優しい目で代表を見るのがいいかなと思っています。

(佐藤 俊,城 彰二)