【佐々木 敦朗】睡眠時間が「6時間未満」の人は「約4倍も風邪をひきやすい」…「体内時計の乱れ」が招く”免疫”への弊害
最高の体調は、「食べない力」から生まれる!
米国大学の医学部教授であり、世界で活躍する一流の生命科学者がたどり着いた、仕事のパフォーマンスをも変える新常識。快眠、集中力アップ、老化抑制、脂肪燃焼…すべてのカギは、「食べない力」にあった。
最高の体調を手に入れたい全てのビジネスパーソンのための「科学的ファスティング」。その仕組みと実践を、『3日で変わる からだが目覚める「食べない力」 細胞レベルで整う、生命科学者が実践するシンプルな習慣』より一部抜粋・再編集してお届けする。
【前編を読む】夜型生活は「肥満」や「2型糖尿病」のリスクを高める…夜勤や不規則な生活でも体内時計を整える“工夫”
体内時計に合わせて血圧も変化する
血圧も体内時計に合わせて一日の中で変化します。一般的には夜寝ている間は10~20%ほど下がります。睡眠中に血圧が日中より下がることを「ディッピング」と呼びます。朝起きる頃になると血圧はグッと上がります。一方で、なかには夜になっても血圧が十分に下がらない「ノンディッパー」や、むしろ上がってしまう「ライザー」と呼ばれるタイプもあり、心血管リスクが高いことが知られています。
血圧が夜に下がり、朝に上がるリズムは体内時計の指示に加え、睡眠・覚醒や日中の活動量などの要因によって形づくられます。睡眠中は主に副交感神経が優位になって血圧と心拍数が下がり、起床前には交感神経がオンになって、活動の準備のために心臓ポンプの出力を上げます。
心臓そのものにも末梢時計(心筋時計)があります。時間帯に応じて心筋の代謝やポンプ機能に関わるプログラムが変化します。この末梢時計の働きによって心臓は、活動期と休息期にあわせて働きを調整していると考えられます。
体内時計の乱れは、血圧コントロールの悪化・心不全・不整脈のリスクとの関連も指摘されています。夜更かしや睡眠不足、遅い時間の飲食、就寝前に強い光を浴びることは、親時計と末梢時計のズレを大きくし、自律神経と血圧のリズムを不安定化させる要因ともなりえるのです。
日中は元気なのに夜に熱が出やすい、朝は花粉症のくしゃみが激しい、起床時に咳が出る--こうした症状の出やすい「時間帯での差」は、体内時計に伴う免疫やホルモンなどへの働きに影響するために起こります。
アトピー性皮膚炎のかゆみが夜間に強くなるのは、皮膚の温度や血流、バリア機能の変化に加え、夜間は炎症を抑える働きをするホルモン(コルチゾール)の分泌が低下することも一因と考えられています。
喘息は「夜に悪化しやすい」
喘息発作が夜中から明け方にかけて起きやすいのにも理由があります。まず気道の機能そのものに「夜に悪化しやすい」というリズムがあることがわかっています。ここに、気管支を広げる交感神経の働き、炎症を抑えるホルモン量の低下といった要因が重なって、気道が収縮しやすくなるのです。
免疫そのものにも“強い時間帯”と“弱い時間帯”があります。ネズミにインフルエンザを感染させる実験では、活動期の夜に感染させるか休息期の朝に感染させるかで生き残る割合が大きく変わったとの報告があります。人間の場合でも、体内時計の乱れによる免疫が働くタイミングのズレは、感染しやすさや重症化リスクの上昇と関連づけられています。
身近な例では、睡眠不足や夜更かしは風邪のひきやすさにも関係しています。毎日6時間未満の睡眠しか取らない人は、十分眠れている人よりも約4倍も風邪をひきやすいという研究データもあります。
理由のひとつは、免疫細胞は睡眠中にウイルスと戦う準備を整えるため、寝不足だと“守り”が弱くなりやすくなることです。睡眠不足の状態ではワクチンを打っても抗体がつくられにくく、予防効果が下がる可能性も報告されています。
体内時計を整えることは、免疫を正しく働かせ、感染リスクを下げるためにもとても重要なのです。
【もっと読む】“たった3日”で肥満解消、老化防止、睡眠の質改善まで…“食べない健康法”「ファスティング」の驚きの効果
糖尿病を含む基礎疾患がある方、治療中・服薬中の方、妊娠中・授乳中の方、成長期の方、摂食障害のある方またはその既往がある方、その他健康状態に不安のある方は、本書の方法を自己判断で行わず、必ず医師に相談してください。
