「黄体機能不全」とは?症状・原因・改善する食べ物も解説!医師が監修!

プロラクチンとは?メディカルドック監修医がプロラクチンの基準値や高くなる原因や高いとどんな症状が現れるかなどを解説します。

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。内分泌代謝・糖尿病内科専門医。

「プロラクチン」とは?

プロラクチンとは、脳の下垂体(かすいたい)という部分から分泌されるホルモンで、母乳(乳汁)を作る働きを持つことから「乳汁分泌ホルモン」とも呼ばれます。下垂体は小指の先ほどの小さな器官ですが、体のさまざまな働きを調整するホルモンを出す「ホルモンの司令塔」で、プロラクチンもその一つです。妊娠・出産・授乳に深く関わるホルモンで、女性で注目されがちですが、男性の体内にも存在します。血液中のプロラクチンが高すぎたり低すぎたりすると、月経や性機能などにさまざまな影響が現れることがあります。

プロラクチンはどこから分泌されるの?

プロラクチンは、脳の下垂体前葉(かすいたいぜんよう)にある「プロラクチン産生細胞」から分泌されます。特徴的なのは、その分泌が脳の視床下部(ししょうかぶ)から出る「ドーパミン」という物質によって、ふだんは抑えられている(ブレーキがかかっている)点です。多くのホルモンが「分泌を促す指令」で調整されるのに対し、プロラクチンは「抑える指令」で調整されているのです。そのため、ドーパミンの働きを妨げる薬などがあると、プロラクチンが高くなることがあります。分泌には一日のリズムがあり、睡眠中に増え、日中に低くなります。

プロラクチンの基準値

プロラクチンの基準値(正常値)は、測定方法や検査する施設によって異なります。数値を見るときは、必ず受けた施設の基準範囲を確認することが大切です。

男性の基準値

男性の場合、妊娠や授乳といった生理的な分泌増加の局面がないため、数値は比較的低く安定しているのが特徴です。男性でプロラクチン値が15~20 ng/mLを超えて高い状態が続く場合は、下垂体の腫瘍や薬剤の影響、甲状腺機能低下症などの病的な原因が疑われます。

女性の基準値

女性のプロラクチン値は月経周期や自律神経の状態、ストレス、睡眠、運動、胸部への刺激などによって非常に変動しやすいという特徴があります。特に不妊症の検査などでは、15 ng/mLを超えると潜在的な高プロラクチン血症とみなされることがあります。なお、妊娠中や授乳期には生理的にプロラクチン分泌が跳ね上がり、100~300 ng/mL近くまで上昇するのが正常な反応です。

プロラクチンの働き(役割)

プロラクチンは、妊娠・出産・授乳を中心に、次のような働きを持っています。

母乳(乳汁)を作る

乳腺に働きかけて母乳の産生を促すのが、プロラクチンの中心的な役割です。妊娠・出産を経て、赤ちゃんに授乳できるように体を整えます。

排卵・月経を調整する

プロラクチンが高い状態は、排卵や月経を抑える方向に働きます。授乳中に月経が止まりやすいのは、この働きによるものです。

性腺の働きに関わる

プロラクチンが過剰になると、女性では月経や排卵が乱れ、男性では性欲や性機能に影響することがあります。適切な量に保たれていることが、性腺(卵巣や精巣)の正常な働きにつながります。

プロラクチンが高くなる原因

プロラクチンが基準より高くなる状態を「高プロラクチン血症」と呼びます。おもな原因を紹介します。

下垂体の腫瘍(プロラクチノーマ)

プロラクチンを過剰に作る下垂体の良性腫瘍(プロラクチノーマ)が代表的な原因です。腫瘍が大きくなると、頭痛や視野の障害を伴うこともあります。

薬の影響(薬剤性)

ドーパミンの働きを妨げる薬でプロラクチンが上がることがあります。吐き気止めや胃薬(ドンペリドンなど)、一部の抗精神病薬や抗うつ薬、エストロゲン製剤などが知られています。

甲状腺機能低下症など

甲状腺の働きが低下すると、その調整に関わる仕組みを介してプロラクチンが高くなることがあります。ほかに、妊娠・授乳、強いストレス、腎臓の機能低下なども原因となります。

プロラクチンが高い状態が続くとどんな症状が現れる?

プロラクチンが高い状態が続くと、性腺の働きが抑えられ、男女で次のような症状が現れることがあります。

女性の症状

女性では、月経不順や無月経(月経が来なくなる)、妊娠・授乳中でないのに母乳がにじみ出る(乳汁漏出)、不妊などがみられることがあります。とくに、月経が乱れて妊娠しにくいことをきっかけに、検査で高プロラクチン血症が見つかることも少なくありません。

男性の症状

男性では、性欲の低下や勃起障害(ED)、まれに乳房が張る・母乳のような分泌がみられることがあります。男性は症状に気づきにくく、発見が遅れることもあります。

男女共通の影響

男女ともに、不妊の原因になることがあります。また、性腺機能の低下が長く続くと、骨密度の低下につながることもあります。腫瘍が大きい場合は頭痛や視野障害を伴うこともあります。

プロラクチンが低くなる原因

プロラクチンが低くなるのは、下垂体の働き全体が低下する場合などです。

下垂体機能低下症

下垂体の腫瘍や炎症、手術・放射線治療のあと、頭部の外傷などで下垂体の働きが低下すると、プロラクチンも低くなることがあります。

シーハン症候群

出産時の大量出血によって下垂体が障害される「シーハン症候群」でも、プロラクチンが低下し、産後に母乳が出にくくなることがあります。

薬の影響

プロラクチンを抑えるドーパミン作動薬(後述の治療薬)を使っている場合にも、プロラクチンは低くなります。

プロラクチンが低い状態が続くとどんな症状が現れる?

プロラクチンが低い場合は、高い場合と違って、はっきりした自覚症状が出にくいのが特徴です。プロラクチンが低下していることにのみ注目するのではなく、その原因となっている下垂体や視床下部の病気の有無が重要です。気になる場合は内分泌内科で相談しましょう。

産後の母乳が出にくい

低プロラクチンで問題になりやすいのは、出産後に母乳が十分に出ないことです。ほかの時期には、症状に乏しいことが多いです。

多くは無症状

プロラクチンが低いこと自体に対して、特別な補充治療は通常行われません。ただし、下垂体機能低下症が背景にある場合は、ほかのホルモンの不足による症状(倦怠感など)が問題になることがあります。

プロラクチン値に異常がある場合の対処法

プロラクチンの値に異常がある場合は、原因を調べたうえで、それに応じた対応をとります。検査で異常を指摘されたら、自己判断せず、内分泌内科や婦人科などの専門医に相談しましょう。

原因を調べる(採血・画像検査)

まず、複数回の採血でプロラクチンの値を確認し、必要に応じて下垂体のMRI検査などで腫瘍の有無を調べます。

薬が原因なら見直す

薬剤性が疑われる場合は、原因となっている薬を、主治医と相談のうえで見直す(減量・変更・中止)ことを検討します。自己判断で薬をやめないことが大切です。

下垂体腫瘍には薬物療法

プロラクチノーマなど下垂体が原因の場合は、プロラクチンを抑えるドーパミン作動薬(カベルゴリン、ブロモクリプチンなど)の内服が第一選択です。薬で効果が不十分な場合に手術を検討します。

原因の病気を治療する

甲状腺機能低下症が原因なら甲状腺の治療を行うなど、背景にある病気の治療によってプロラクチンが改善することもあります。

「プロラクチン」についてよくある質問

ここまでプロラクチンについて紹介しました。ここでは「プロラクチン」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

プロラクチンを下げる食べ物について教えてください。

久高将太(医師)

特定の食べ物を摂取するだけでプロラクチンを直接かつ大幅に下げるという医学的エビデンス(科学的根拠)のある食材はありません。
プロラクチンの分泌を抑える「ドパミン」の体内合成を高める栄養素としては、ビタミンB6や亜鉛、ドパミンの材料となるチロシン(アミノ酸)などが挙げられます。
ビタミンB6を含む食材:マグロ・カツオなどの魚類、鶏肉、バナナ、ナッツ類
亜鉛を含む食材:牡蠣、赤身肉、ウナギ、ナッツ類
日常の食事では、特定の食品に過度に依存するのではなく、栄養バランスの取れた食事と十分な睡眠を心がけ、ストレスを溜め込まない(上手に付き合う)生活習慣が基本となります。病的な高プロラクチン血症や不妊・月経不順を伴う場合は、食事を含む生活習慣療法のみで改善は期待できないため、速やかに医療機関で適切な検査と薬物治療を受けることが重要です。

まとめプロラクチン異常は自己判断せず専門医に相談しましょう

プロラクチンは、脳の下垂体から分泌される、母乳を作る働きを持つホルモンで、妊娠・出産・授乳に深く関わります。ふだんは脳のドーパミンによって分泌が抑えられており、下垂体の腫瘍や薬の影響、甲状腺機能低下症などで高くなることがあります。プロラクチンが高い状態が続くと、女性では月経不順・無月経・乳汁漏出・不妊、男性では性欲低下やEDなどがみられることがあります。基準値は施設によって異なるため、数値は受けた施設の基準で判断することが大切です。プロラクチンの異常は、原因に応じて薬物療法などで対処できます。食べ物で下げようとするより、まずは検査で原因を調べることが重要です。気になる症状や検査値の異常があるときは、内分泌内科や婦人科などの専門医に相談しましょう。

「プロラクチン」と関連する病気

「プロラクチン」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

脳神経の病気

プロラクチノーマ(プロラクチン産生下垂体腺腫)

下垂体前葉機能低下症


内分泌・代謝の病気

原発性甲状腺機能低下症


婦人科の病気

高プロラクチン血症

黄体機能不全

プロラクチンの異常値背景には、脳下垂体の良性腫瘍や甲状腺疾患、薬剤の影響など多岐にわたる病気が潜んでいる可能性があります。

「プロラクチン」と関連する症状

「プロラクチン」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

無月経・生理不順

乳汁漏出(妊娠していないのに母乳が出る)

不妊症

勃起不全(ED)・性欲減退

女性化乳房(男性の胸が膨らむ)

上記のような症状が見られる場合、血中プロラクチン値の測定を行うことで原因を特定できる場合があります。

参考文献

「高プロラクチン血症」診療ガイドライン・疾患解説|日本内分泌学会

産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編|日本産科婦人科学会