「胆管がん」で”腹水”がたまる原因はご存じですか?医師が解説!

胆管がんで腹水が生じる主な原因は腹膜播種です。肝機能低下や門脈圧亢進も重なり、腹腔内に液体が蓄積します。

※この記事はメディカルドックにて『「胆管がんで腹水がたまる」とどんな自覚症状が現れる?治療法を医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)

佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。

胆管がん腹水の自覚症状


胆管がんが進行して腹水がたまると、お腹が膨れて張る感じ(腹部膨満感)や圧迫感が現れます。ズボンやスカートがきつくなったり、体重が急に増えることで気付く場合もあります。また、お腹の内部が水で圧迫されるため、食欲不振や少量食べただけで満腹になる感じが出たり、横隔膜が押し上げられることで息苦しさを感じることもあります。

胆管がんで腹水がたまる原因

胆管がんで腹水が生じる主な原因は、がんの腹膜播種(腹膜転移)です。
腹膜とは胃腸などお腹の臓器を覆う膜のことで、胆管がんが末期になるとがん細胞がお腹の膜(腹膜)に散らばり、そこで炎症が起こって腹膜の表面から体液が染み出しやすくなります。その結果、腹腔内に液体がどんどん漏れ出て蓄積し、腹水となります。
また、胆管がんが進行すると肝臓の働きが低下することも腹水の一因です。肝臓で作られるアルブミンという蛋白質が不足すると血管内に水分を引き留めておけず、水分が漏れ出して腹水がたまりやすくなります。さらに、がんが肝臓に広がって門脈圧が上昇すると、血液中の水分が血管から漏れて腹水につながります。
まとめると、胆管がんによる腹膜へのがん細胞が転移し、肝機能低下や門脈圧亢進などが組み合わさって腹水が生じるのです。

胆管がんの腹水についてよくある質問

ここまで胆管がんの腹水について紹介しました。ここでは「胆管がんの腹水」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

胆管がんの腹水は何度も繰り返しますか?

はい。前述のとおり、腹水はがんそのものが原因で生じているため、抜いたとしても原因が取り除かれない限りまた蓄積してしまいます。腹膜播種による腹水は自然に吸収されなければ、腹水ドレナージで一時的に減らせても再びお腹が張ってくることがあります。

胆管がんの腹水の症状を緩和する治療法を教えてください。

腹水によるお腹の苦しさを和らげる治療法としては、大きく4つの方法が挙げられます。

利尿剤による内科的治療

腹水ドレナージ

CART(腹水濾過濃縮再静注法)

腹腔静脈シャント

これらの方法は組み合わせて用いられることもあります。それぞれ利点と欠点がありますので、主治医と相談して患者さんの状態に合った方法を選択することが大切です。

腹水がたまっている場合に生活上注意することはありますか?

はい、腹水と付き合いながら生活するうえでいくつか工夫や注意点があります。
まず、腹水が多く溜まっているときは無理をせず安静を心がけることが基本です。動くとお腹が揺れて不快なため、適度に休みながら生活しましょう。
また、腹部や腰周りを締め付けないゆったりとした衣類を着用し、締め付けの強いベルトやガードルは避けてください。皮膚が引っ張られてかゆみが出ることもあるので、お腹の皮膚は保湿剤でケアし、爪は短く切って皮膚を傷つけないよう注意しましょう。
食事面では、腹水があると胃が圧迫されて一度にたくさん食べられません。そのため少量ずつ頻回に食べる工夫が有効です。一回の食事量を減らし、1日に4~5回に分けて食事や間食をとると胃の膨満感が軽減します。
また塩分の摂りすぎは腹水悪化につながるため、減塩を意識しましょう。


まとめ


胆管がんで腹水がたまるのは、病状がかなり進行したサインではありますが、適切な対処を行うことで症状を和らげ、生活の質(QOL)を維持することは可能です。利尿剤や腹水ドレナージ、CARTなど複数の治療法を組み合わせて症状緩和を図ります。主治医や緩和ケアチームと十分に話し合い、今後の治療方針や生活のことなど納得いくまで相談しましょう。本記事がその材料になれば幸いです。

関連する病気

胆管がんと似た症状を示す、または同時に発生する可能性のある病気には以下のようなものがあります。

胆石症

胆石性胆管炎

原発性硬化性胆管炎

膵頭部がん

肝細胞がん

胆嚢がん

関連する症状

胆管がんに関連する症状は以下のような症状が挙げられます。これらの変化を正しく把握することが鑑別に役立ちます。

黄疸

皮膚のかゆみ

右上腹部痛

体重減少

濃い尿と白色便

発熱・悪寒

参考文献

院内がん登録生存率集計結果閲覧システム|がん情報サービス

胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん)|がん情報サービス