「コルチゾール値」が高くなるとどんな症状が現れる?医師が徹底解説!
体内のコルチゾール値が高くなるとどんな症状が現れる?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「コルチゾール」の分泌が増えるのは「愚痴を言う側」と「聞かされる側」どっち?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
上田 莉子(医師)
関西医科大学卒業。滋賀医科大学医学部付属病院研修医修了。滋賀医科大学医学部付属病院糖尿病内分泌内科専修医、 京都岡本記念病院糖尿病内分泌内科医員、関西医科大学付属病院糖尿病科病院助教などを経て現職。日本糖尿病学会専門医、 日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医、日本専門医機構認定内分泌代謝・糖尿病内科領域 専門研修指導医、内科臨床研修指導医
「コルチゾール」とは?

コルチゾールという言葉を聞いたことはあるでしょうか。コルチゾールとは体内で生成・分泌されるステロイドホルモンの名前です。コルチゾールは、よく「ストレスホルモン」と呼ばれています。
この記事では、コルチゾールの働きや、コルチゾールが体内で過剰に増加したときの症状、さらには愚痴や悪口とコルチゾールの関係について説明します。
コルチゾールがストレスホルモンと言われるのはどうして?

コルチゾールはストレス時に分泌量が増え、生物がストレスに打ち勝つために必要なホルモンと考えられています。ここでいうストレスとは、発熱、感染症、けが、手術、低血糖、強い運動、睡眠不足などの肉体的ストレスに、精神的なストレスを含みます。
コルチゾールはどこから分泌されるの?

コルチゾールを産生・分泌しているのは、腎臓の上に一対ある「副腎」という小さな臓器です。副腎の皮質という外側の部分で、コルチゾールは作られています。
コルチゾールの働き

ストレスがかかると、脳の視床下部・下垂体を介して副腎が刺激され、コルチゾールの分泌が増えます。コルチゾールは、体が危機に対応できるように、主に次のような働きをします。
血糖を上げる
コルチゾールが身体に働きかけ、血糖値を上げることで、脳や筋肉が使えるエネルギーを確保します。
血圧を保つ
コルチゾールは、血管の反応性を保ち、循環を維持します。
なお、コルチゾールと同じ副腎で産生・分泌される「アルドステロン」というホルモンも、血圧の上昇に関わっています。
炎症や免疫反応を調整する
コルチゾールは、身体で起こる過剰な炎症反応を抑えます。
体のエネルギー利用を切り替える
コルチゾールは、脂肪やたんぱく質の代謝にも関わり、必要なエネルギーを作り出します。
体内のコルチゾール値が高くなるとどんな症状が現れる?

一時的にコルチゾール値が上昇しても、一般の病気のない方では大きな問題になることはあまりないでしょう。しかし、副腎に腫瘍ができる、副腎の働きを調整する下垂体などの脳の一部に異常が起こるなどの病気になると、ストレス時などの必要時以外にもコルチゾール値が高くなってしまいます。こうしてコルチゾールが異常高値を示す病気を、「クッシング症候群」と呼びます。
クッシング症候群で慢性的にコルチゾールが異常高値を示すと、次の症状が現れる場合があります。
血圧・血糖値・脂質の異常など代謝関係の異常
クッシング症候群は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの病気に後ほど説明する体つきや顔つきの特徴が伴うことがきっかけで診断されることが多いです。
クッシング症候群で出現する代謝異常には、次のようなものがあります。
・高血圧
・糖尿病・血糖上昇
・脂質異常症
・体重増加
すぐにできる処置や症状の落ち着かせ方はないので、健診などでこれらの症状に気づいた場合は早めに医療機関(内科)を受診しましょう。クッシング症候群ではなかった場合も、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満の改善は重要です。
体型・見た目の変化
クッシング症候群では、体つきや顔つきの変化も診断の一助になります。
具体的には、次のような変化が現れる場合があります。
・中心性肥満:お腹まわりに脂肪がつきやすい
・満月様顔貌:顔が丸くなる
・野牛肩:首の後ろから肩の部分に脂肪がつく
クッシング症候群の患者さんでは、お腹周りに脂肪がつきやすい一方で、手足はほっそりしていることがあります。
コルチゾールが異常高値を示しているときに出る異常が、複数出ているときは、クッシング症候群の可能性がでてきます。クッシング症候群が疑われる場合は内分泌内科への受診が適切です。ですが、まずは一般内科を受診してクッシング症候群の可能性が高いかどうかを医師に判断してもらうのがよいでしょう。
皮膚の変化
クッシング症候群では、皮膚が薄くなることが特徴的です。
皮膚が薄くなることで、次のような症状が出現します。
・あざができやすい
・傷が治りにくい
・にきびが増える
・赤紫色の皮膚線条:お腹や太ももに紫~赤色の太い線が出る
これらの症状を含め、複数のクッシング症候群の特徴が出現した場合は、内科か内分泌内科を受診しましょう。
女性にみられやすい症状
女性にクッシング症候群が発症した場合、月経不順や無月経が起こる可能性があります。
また、多毛やにきびも非特異的ながら出現します。
月経に関する異常が出たときはまず早めに婦人科を受診しましょう。ここに挙げたようなクッシング症候群を疑う症状が複数出ている場合は、婦人科から内科や内分泌内科を紹介してもらうのがいいと考えます。
精神・睡眠の症状
クッシング症候群では、精神的な異常が出る場合があります。
気分の落ち込みや不安感、イライラ、不眠、集中力低下などです。
どれも非特異的な症状ではありますが、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの異常、体つき・顔つきの変化、皮膚の変化と並行して起こる場合はクッシング症候群の可能性もありますので、疑わしい場合は内科や内分泌内科を受診しましょう。
その他の変化
高血圧、糖尿病、脂質異常症に加え顔つきや体つきの変化、皮膚が薄くなる症状に加えて、筋力低下や、骨・感染・血栓に関する症状が並行して起こる場合は、クッシング症候群の可能性が増します。
・筋力低下
・骨粗鬆症
・骨折しやすい
・感染症にかかりやすい
・血栓ができやすい
ここに挙げた症状が揃っていて、クッシング症候群が疑わしい場合は、内科もしくは内分泌内科を受診しましょう。
「コルチゾールと愚痴」についてよくある質問

ここまでコルチゾールと愚痴について紹介しました。ここでは「コルチゾールと愚痴」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
愚痴や悪口を言うとコルチゾールが分泌される原因について教えてください。
上田 莉子(医師)
愚痴や悪口を言うことで当時の逆境を思い出す場合、そのストレスから身体を守るために、コルチゾールが分泌されやすくなる可能性があります。
ただし、コルチゾールは、愚痴や悪口で分泌されるというよりも、身体がストレスに打ち勝つために分泌されるホルモンです。
なお、愚痴や悪口程度でコルチゾールが少し多めに分泌されたところで、身体に明らかな異常(高血圧、糖尿病、脂質異常症、皮膚の異常、顔つき・体つきの異常、精神的な問題)が出現していない場合は、多くの場合は経過観察しても大きな問題はないと考えます。
医学的に問題となるのは、恒常的にコルチゾールが過剰・不足する状態です。
ただし、過剰なストレスは万病のもとと言えます。愚痴や悪口を言ってもストレス発散にならない方の場合は、そういった言動は控えるほうがいい可能性はあります。
まとめ過剰なストレスが続く場合はストレッサーから距離を置き、生活習慣を整えましょう
コルチゾールは、身体をストレスから守るホルモンです。日々の言動で多少の増減はしますが、医学的に問題になるのはその分泌に波がなくなり、常に高値・低値になってしまった場合です。とはいえ、過度なストレスは心身へさまざまな影響を及ぼす可能性があります。ストレス対策のひとつとして、ストレッサー(ストレスの原因)から適度に距離を取ることも大切です。強いストレスが続く場合は、休養を確保しながら、生活環境や人間関係を見直してみるのもよいでしょう。
「コルチゾール」と関連する病気
「コルチゾール」と関連する病気は12個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系
高血圧症
低血圧症
低血糖
糖尿病耐糖能異常
脂質異常症アジソン病クッシング症候群クッシング病
異所性ACTH産生症候群
肥満症
月経異常
コルチゾールと関与する病気は多様です。複数の兆候が重なった場合は、内科受診を検討しましょう。
「コルチゾール」と関連する症状
「コルチゾール」と関連している、似ている症状は14個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
高血圧血糖上昇
体重増加
中心性肥満
満月様顔貌
あざができやすい
皮膚線条
月経異常
気分の落ち込み
不眠
筋力低下
骨粗鬆症
強い疲労感
低血糖コルチゾールと関与する症状も多様です。複数の兆候が重なった場合は、内科受診を検討しましょう。
参考文献
クッシング症候群|日本内分泌学会
Interactions between sleep, stress, and metabolism: From physiological to pathological conditions|PMC
