体重の急変やむくみは危険信号?「糖尿病」の治療効果を妨げる「あの病気」の併発リスクを医師が解説
糖尿病といえば、「血糖値」や「インスリン」との関係を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか? じつは、甲状腺機能異常と糖尿病を併発するケースは珍しくないのだそうです。そこで、糖尿病や内分泌疾患の専門医である山本剛史先生(神楽坂やまもと内科クリニック)に、甲状腺疾患と糖尿病の併発のリスクについて、詳しく教えてもらいました。
監修医師:
山本 剛史(神楽坂やまもと内科クリニック)
2003年昭和大学医学部卒業。昭和大学医学部第一内科入局後、東京急行電鉄株式会社東急病院などを経て、昭和大学医学部糖尿病代謝内分泌内科助教・講師・医局長を歴任。さらに米国カリフォルニア州立大学サンディエゴ校で学び、2024年2月に神楽坂やまもと内科クリニックを開院、院長となる。日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医・指導医、日本内分泌学会専門医・指導医、日本生活習慣病学会管理指導医。
編集部
1型糖尿病と2型糖尿病の違いについて教えてください。
山本先生
1型糖尿病は、主に自己免疫の異常によりすい臓のインスリンを作る細胞が壊れてしまうことで発症します。発症年齢が若く、インスリンがほとんど分泌されないため、インスリン注射が不可欠です。一方、2型糖尿病は生活習慣や遺伝が関与し、インスリンの働きが悪くなったり、分泌量が不足したりすることで起こると言われています。
編集部
甲状腺機能異常と糖尿病を併発するケースは多いのですか?
山本先生
甲状腺疾患と糖尿病はどちらも内分泌系の病気であり、併発するケースは珍しくありません。実際に糖尿病患者の約10%に甲状腺機能異常があるとも言われています。とくに1型糖尿病では自己免疫性の甲状腺疾患が併発する頻度が高く、2型糖尿病でも中高年を中心に甲状腺機能低下症を併発している人がいます。
編集部
糖尿病で受診したのに甲状腺の検査をすることがあるのはそのためですか?
山本先生
そうですね。糖尿病のコントロールがうまくいかない背景に、甲状腺ホルモンの異常が隠れていることがあるのです。とくに「疲れやすい」「むくみがある」「体重が急に増減する」といった症状がある場合には、甲状腺を検査すべきです。甲状腺機能亢進症では、腸での糖吸収が亢進し食後高血糖になるため、ブドウ糖負荷試験が有効ですし、甲状腺機能低下症では空腹時血糖値が上がってくる特徴があるため、ホルモン値も含めた総合的なチェックが必要です。
編集部
甲状腺に対する治療で血糖値は改善されるのですか?
山本先生
はい。適切な補充療法で甲状腺ホルモンのバランスが整えば、代謝も正常化し、血糖コントロールが改善されるケースが多くあります。もちろん個人差はありますが、治療によって体調全体がよくなる患者さんは多くいらっしゃいます。甲状腺の病気は見逃されやすい傾向にあるため、検査がとても大事です。
※この記事はメディカルドックにて<「糖尿病」と甲状腺ホルモンの“意外な関係”をご存じですか? 血糖値への影響を医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

