頑張って利益を出したのに、なぜまた目標が上がる? 会社の利益が「次の成長」に使われるワケ

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\社会の不条理とギモンは『資本論』で説明できる/

会社の利益はすべて社員へ還元されるわけではない

企業の成長に使われる「ゆとり」

 会社に利益が出たと聞くと、働く人は少し期待します。忙しい時期を乗り越え、目標を達成し、売上にも貢献したのだから、給料として戻ってくるのではないか、と。けれども実際には、新しい設備を入れる、新規事業を始める、人を採るなど、次の拡大に使われることがあります。利益が次の利益を生むために動き出すのです。

 会社の利益のもととなるのは労働者が生み出した剰余価値です。賃金として支払われなかった価値の一部が会社に残り、事業の中に蓄積されていきます。これが資本蓄積です。蓄積された利益は、ただ貯め込まれるだけではありません。機械やシステム、研究開発、採用などに投じられ、より多くの商品やサービスを生み出す力になります。

 働く人から見ると、自分たちの成果が生活のゆとりになる前に、次の成長計画へ変わっていくように見えます。今年の利益は、来年の売上目標になり、新しい投資は、さらに高い成果を求める理由になります。会社が大きくなるほど、仕事も目標も増えていくのは、この循環があるからです。

 利益は、使って終わるお金ではありません。資本主義のしくみでは、利益は「もっと利益を生むお金」へ変わります。労働者が生み出した価値の一部が、賃金ではなく資本として積み上がり、次の拡大へ向かう。そこに資本蓄積のしくみがあります。

利益は次の成長に使われることがある

会社に利益が出ても、そのすべてが働く人の給料に戻るとは限らない。利益は、新しい設備や人材、新規事業など、次の拡大に使われることがある。

働く人の期待

忙しい時期を乗り越えた 目標を達成した 売上に貢献した 給料が増える期待

働く人から見ると、自分たちの成果が生活のゆとりになることを期待しやすい。

会社で起こること

新しい設備を入れる 人を採る 新規事業を始める 研究開発に使う

利益は、働く人への還元だけでなく、次の利益を生むための投資に回される。

利益は、使って終わるお金ではなく、会社をさらに成長させるための資本に変わっていく。

資本の蓄積は、次の拡大を生む

労働者が生み出した価値の一部が会社に残り、蓄積される。その蓄積された利益が、さらに多くの商品やサービスを生み出す力になる。

利益が「もっと利益を生むお金」に変わることで、会社は拡大し続け、次の仕事量や目標も大きくなっていく。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 資本論の話』監修:白井 聡

【監修者紹介】
白井 聡 (しらい・さとし)
政治学者、思想史家。1977年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。京都精華大学人文学部教員。レーニンの政治思想研究を出発点とし、現代日本社会や資本主義を鋭く読み解く論考で注目を集める。『永続敗戦論―戦後日本の核心―』(太田出版)で第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞を受賞。主な著書に『国体論菊と星条旗』(集英社新書)、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)、『今を生きる思想マルクス生を呑み込む資本主義』(講談社現代新書)などがある。