【特集】見附市出身のデザイナーが夢の舞台「パリ」へ その創作の原点とは《新潟》
見附市出身のデザイナーが2027年フランス・パリで行われるファッションショーに参加します。
「物心ついたときから洋服へのトキメキやワクワクが根付いていた」憧れの舞台へ向け創作を続ける原点を見つめます。
◆和洋折衷 空間彩る華やかな衣装
作品全体を彩るちりめん細工の和柄模様……タイトルは「花手毬」
手掛けたのはデザイナーの山田萌永さん25歳です。
「コレクションのテーマとしては祝福というテーマにしてすごく日本で紅白ってめでたい印象があるので、並んだ時にめでたいような華やかな印象になるようにイメージして作りました」
祝福をテーマに3体で構成された作品…
日本の伝統工芸品ちりめん細工で作った700個の花を伸縮性のある生地にひとつひとつ手作業で縫い付けました。
〈作品を見た人〉
「デザインが素敵だしなかなか世界にないものだなと思って」
「わって感じですよね。(一度見たら)忘れられないですよね」
〈ファッションデザイナー 山田萌永さん〉
「神は細部に宿るという言葉がありまして、細部にどれだけ離れず逃げずに突き詰めるのかっていうディテールに対するこだわりと貪欲さをこの花手毬という作品を通じて自分はすごく経験をしたんですよね」
◆デザイナーとしての転機 ブランド立ち上げ地元へUターン
会場中の視線が注がれる中ランウェイを歩くモデルたち。着物の生地をアレンジした独創的なデザインが並びます。
東京都が主催する次世代のデザイナーを発掘するコンクールです。
このコンクールで去年、山田さんは大賞に次ぐ東京都知事賞・優秀賞を受賞しました。
その副賞としてファッションの発信地フランスでパリでの出展に挑戦できる17人に選ばれたのです。
〈ファッションデザイナー 山田萌永さん〉
「すごく大変なんだけどもそれをちゃんとやり切ったというのは自分の中でも大きな自信になったし、なんか試されたっていうかそのふるいにかけられたコンテストだったかなって思う」
ことしの春都内にあるファッション系の大学を首席で卒業。在学中にファッションブランドを立ち上げ、地元・見附にUターンしました。自宅の一室がブランドの作業場です。
デザイナーとして自分を見つめ直した学生時代。作品を生み出す傍らニットの工場でインターン……製造現場を見る中でその素材に惹かれたといいます。
〈ファッションデザイナー 山田萌永さん〉
「作り手って地方の方になるので日々その工場さんとやり取りしてるデザイナーさんを見ていて、時間のロスと作り手の顔が見えないっていうすごい表面的な作業されているのをみて自分はすごくもっと近くでやり取りしたいしできればものづくりの現場にいて直接いけたらいいなって思ったんです」
◆トキメキとワクワク…生きる希望だった“舞台”
2001年、見附市出身。幼いころからファッションが好きな女の子。
ぬいぐるみやゲームよりも服が欲しいとねだっていました。
〈ファッションデザイナー 山田萌永さん〉
「自分が物心つくときからそのラッピングを解いてみた時のかわいいっていうお洋服に対するトキメキとかワクワクがもう物心つくときから根付いてはいた」
14歳のとき創作の原点となる出来事が……
〈ファッションデザイナー 山田萌永さん〉
「心臓にいっぱい穴が開いていて自分はもうそこで人生が終わるかもしれなかったので」
心臓の壁に穴が開いている重い病が見つかったのです。7時間におよぶ手術を受けいまも心臓を機械が覆っています。
〈ファッションデザイナー 山田萌永さん〉
「手術した時にこれからどういう風に歩んでいこうかなってすごく見つめていた時にパリコレの動画を見て、それが生きる希望になったというか、どうしてもここに行きたいんだっていう」
生死をさまようなか憧れの舞台への思いが生きる希望になりました。
◆県内ではじめての展示イベント
ことし7月、ブランドを立ち上げてはじめての展示会。
江戸時代末期に建てられた国の有形文化財・鈴木家住宅に自身が手掛けたおよそ100点が並びました。
こちらはオーストラリア人向けのデザイン。見附ニットを使い春のチューリップをイメージしたピンクや秋の稲穂を思わせる黄色など地元の風景がモチーフになっています。
〈ファッションデザイナー 山田萌永さん〉
「生地自体はすごく現代的だけど形は和装から着想を得ていて、こういう重なりはちょっと和装っぽい」
ブランドのコレクションをモデルが着用する撮影も地元の見附で……モデルの一人、綾子さんは見附市内に住む70代の女性です。
〈モデルを務めた綾子さん〉
「こうやってきたんですけど、どうでしょうか」
〈ファッションデザイナー 山田萌永さん〉
「バシッと来たっていうか、もともと写真を見せてもらってたけど、ふれあい食堂の集合写真?見せてもらってたけど、直接会わないと分かんないからさ」「布巾かぶってる(写真)ばっかり」
〈モデルを務めた綾子さん〉
「こんな私でもいいんですかといっていいんですって。モデルモデルしたモデルじゃなくていいんですって言われて、私も恥を忍んで、最後の賭けに出てみようかなと、大げさだけど」
「彼女わかいのにね素晴らしいなと思いました。もう孫です」
◆やることは山積み…地元の技術とともにいざパリへ
ひとりでスタートさせたファッションブランド。モデルのキャスティングからスケジュール管理、SNSでの発信などデザイン以外にも準備は山積みです。
〈ファッションデザイナー 山田萌永さん〉
「資料作成とかも多くてそれこそ展示会のご案内とかもそうですし、結構いろいろなことしてます。デザインして終わりじゃないんですよね、デザインしたらそれを伝えないと意味ないから伝えるためにいろんなことをやらないといけないです」
パリでのコレクションまで半年。この日はアイテムを制作する見附市のニット工場で打ち合わせです。生地の編み方、素材、厚みなどを確認します。
〈ファッションデザイナー 山田萌永さん〉
「黒の部分が前立ての方じゃないですか、そうした方が安定しやすいかもって思いました」
〈工場担当者〉
「そうした時にこっち側がバランス悪くなっちゃいますね」
〈ファッションデザイナー 山田萌永さん〉
「なるべくこう裾がまくらないで、形状をキープできる仕様の方が、秋冬だからしっかり作った方がいいとは思います」
テーマは「光の軌跡」
市内4つの工場と協力しおよそ20着を製作する予定です。
〈ファッションデザイナー 山田萌永さん〉
「ショーって生きた生身の人間が着るからこそ全くやっぱり違ってきますよね、人が着て初めて服になると思うので服にこう命が宿るというかデザイナーは憧れの場所だと思いますしすごく楽しみです。」
ファッションでつながる人と人……地元が誇るニットの技術と自らの感性を掛け合わせて。
その先に夢見たパリの舞台が待っています。
