〈《鼻と唇、耳がない状態》「分娩室がシーンと…」口唇口蓋裂で生まれた女性(31)が明かす、20回以上の手術と“見た目”に苦しんだ半生〉から続く

「口唇口蓋裂」とその合併症等によって鼻と唇、耳がなく、心臓に3つ穴が開いた状態で生まれた小林えみかさん(31)。これまでに20回以上の手術を受けてきた彼女が、不登校・自傷行為・手術への反抗という波乱の半生を赤裸々に語った。

【画像】「写真を見てトイレで吐いてしまった」鼻、唇、耳がなく生まれた幼少期のえみかさんの写真を見る


保育園に通っていた時のえみかさん

リストカットで発散する日々

 中学2年生の時、小林さんは不登校になった。「『お前アホやな』くらいのテンションで、男子から『かわいくないよな』みたいに会話の中でディスられることがよくあった」。その積み重ねが限界を超え、最終的には対人恐怖症のような状態になってしまったという。学校の門を見るだけで吐き気がし、卒業証書は校長室で受け取った。当時は鏡を割り、リストカットで発散する日々が続いたという。

 転機は通信制高校への進学だった。複雑な境遇の同級生たちは、唇の移植手術を受けて2週間ぶりに登校した小林さんに「もともとかわいかったけど、もっとよくなったね」と声をかけた。さらにギャルメイクを始めたことで、「口元にあんまり目線が行かない。鎧をかぶったような気持ちになれて、自信を持てるようになった」と振り返る。すっぴんでは大人しい性格なのに、ギャルメイクをすると誰にでも気軽に声をかけられるようになったという。

 そんな自分を変えるきっかけとなった唇の手術だが、周辺の皮膚を引っ張って唇を閉じたため、本来は鼻の粘膜になるはずだった部分が口の中に入り込み、そこから毛が生えてきた。「抜糸する時、主治医が鼻毛を糸やと思ってメッチャ引っ張ってきたんで、『それ鼻毛なんで、そのまま置いといてください』って言いました(笑)」。

 一方で、高校3年時には耳を作る大手術2回の合間に鼻の手術まで提案され、ついに心が爆発。「手術する意味が分からん!」と親に泣き叫んで反抗したのは、それが初めてのことだった。「きれいになれるなら手術をしたい」という気持ちと「皆と最後の高校生活を過ごしたい」という気持ちの板挟みに、当時の葛藤の深さがにじむ。

 現在は口唇口蓋裂の当事者・家族支援を行うNPO法人の代表を務める小林さん。「『自殺したい』というメールが多い」と明かしながらも、「『"ポジティブでいたい"と願うネガティブな自分』を丸ごと受け止めていきたい」と語る姿には、20年以上かけて積み上げてきた言葉の重みがある。

 小林さんの「“見た目”を改善するためだけの手術」に対する葛藤や病気について発信を始めた理由などについては、インタビューの本編で詳しく語られている。

(「文春オンライン」編集部)