「10代少女を4人で強姦」「殺害後はドラム缶に入れて…」《女子高生コンクリ殺人》出所した少年たちの「驚くべきその後」(昭和64年の事件)〉から続く

 かつて日本中を震撼させた「女子高生コンクリート詰め殺人事件」。凄惨な事件から約30年が経過し、刑期を終えて社会復帰を果たしていた元少年たちだったが、犯人のひとりであるCは2018年に再び殺人未遂事件を起こして逮捕された。更生とは程遠い元少年たちの現実に、世間は再び大きな衝撃を受ける。

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 しかし、再犯に及んだのは彼だけではなかった。犯行に関わった4人中3人が、出所後に監禁致傷や振り込め詐欺といった凶悪犯罪で再び逮捕されていたのだ。

 一体なぜ彼らは更生できず、再び犯罪へと手を染めたのか。著者は事件の現場となった足立区綾瀬の街を歩き、当時の面影を残す場所や近隣住民の証言を追う。見えてきたのは、事件当時に少年たちを取り巻いていた異質な環境と、等身大の少年が「鬼畜」へと変貌した悲しい背景だった。

 ノンフィクション作家の八木澤高明氏の文庫新刊『殺め家』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目)


事件現場近くを流れる綾瀬川(撮影:八木澤高明)

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女子高生コンクリ詰め事件--犯人たちのその後

 逮捕された他の少年たちもすでに全員が刑期を終えて出所している。少年Bは出所後、「俺の女を取っただろう」と男性に因縁をつけて、母親が経営していたスナックに監禁し、逮捕監禁致傷罪で再び逮捕され、二〇〇五年に懲役四年の判決を受けている。

 主犯格の少年Aは二○○九年に出所したが、その後振り込め詐欺の容疑で逮捕されている。結局四人のうち三人が再び逮捕されるという事態を引き起こしているのだった。

事件の起きた土地に足を運ぶと…

 二○○九年の初めから、事件の現場となった足立区綾瀬を私は幾度となく歩いている。綾瀬駅で降り、現場となった家へと向かう。近年、綾瀬駅周辺は千代田線が直接大手町方面へ乗り入れていることもあり、子育て世代には、人気のある住宅地となっているという。

 事件が起きたのは今から三○年ほど前のことだから、家を求める世代からしてみれば、過去の事件に引きずられる気持ちは希薄になっているのかもしれない。

 パチンコ屋が目につく駅前の商業地域を抜けると、すぐに街の風景は住宅街となる。

 すると突然視界にラブホテルが現れ、その横には子どもたちが遊ぶ公園がある。あまりにアンバランスな景色に何ともいえぬ気持ちになる。

 ここ綾瀬周辺は、高度経済成長期に入るまでは、水田地帯だった。宅地となる前に東京の外縁部にあたるこの辺りにはラブホテルが建ち、その後宅地化されたのだろう。

 それにより、一見すると野放図な景色が生まれた。

なぜあんな事件を起こしたのか?

 駅から、一五分ほど歩いただろうか、Cの家があった住宅街の一角に出た。すぐ前には公園がある。家は事件後取り壊されているが、区画は当時のままである。

 駅からここまで歩いてくる間、子供連れの若い女性が目についた。彼女たちの年齢は三○代から四○代だろう。事件のことは知っているに違いないが、どんな思いを抱いているのだろうか。

「うちは昭和四七(一九七二)年にこのあたりの分譲住宅を買ったんです。四月に入居して、その一ヶ月か二ヶ月後にあの一家が移ってきました。あそこの家は当時の値段で一二〇〇万円ぐらいだったと思いますよ」

 言葉の端々に東北訛りが残る近所の住民が、C一家がこの土地へやってきた頃のことを覚えていた。

 Cの家は取り壊されていると先に書いたが、事件当時、彼らが玄関を使わず直接二階から出入りするために使っていた電柱は、いまも家に寄り添うように残っていた。

 一九七二年にこの地へと引っ越してきたCの一家。ちょうどCが生まれた年のことである。共産党員だった両親は躾も厳しかったというが、いつしかCは道を外れていった。

 それにしてもなんであんな事件を起こしたのか。

「仕事をまともにしない人間が多かった」

 事件現場近くの居酒屋に入った。店には若い二人組がビールを飲んでいた。カウンターに座り、焼き鳥をつまみながら、二〇数年前のこの界隈の様子について尋ねた。

「ここから五〇メートルも離れない場所に飯場が五件もあってね。ヤマから人が来ていたよ。都営住宅が出来て、仕事をまともにしない人間が多かった。子どもたちにも良くない環境だったよ。北綾瀬駅が出来てから、飯場が無くなって、前よりは環境が良くなったけどね」

 二人組が帰った後、居酒屋の主人に事件のことについて尋ねた。焼き鳥を買いに来た加害者かその仲間たちのことを思い出してくれた。

「いつも若いのが二人組で塩の焼き鳥を買いに来たよ。手にタバコを押し付けられた痕がついててね。塩を買うってのは、酒飲みの証拠だよ。買う数はいつも四、五本だけどね」

 手にタバコを押しつけられた痕があったというからには、主犯格の少年に使い走りをさせられていた少年だったのかもしれない。

 たかが数本の焼き鳥を買いにくるどこにでもいる等身大の少年の姿、史上最悪の事件を起こした鬼畜の姿。少年と事件の大きさとのギャップに驚きとともに虚しさを覚えずにはいられなかった。果たして少年たちは、どこで道を踏み外し、鬼畜の所業に及んだのか。

風化が進む事件

 コンクリート事件の現場周辺は、少しずつ風化が進み、彼らが遺体を遺棄した埋立地の周辺も家族連れが集まる海浜公園となっている。ただ、事件を犯した人間たちに宿った業はそう易々と消え去ることはない。

(八木澤 高明,高木 瑞穂/Webオリジナル(外部転載))